文化と気概

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 パイレーツがインド人投手2人とマイナー契約?(サンスポ)


 面白い。まあなんてったってインドは人口爆発中だからね。目の付け所は良いかも知れない。なんとなく野球と動きが似ているクリケットやホッケーが盛んだから野球もやってみない?(笑)両方とも槍投げ選手だったんだって、なるほど。
 WBCについて考える時に、野球に国際大会は必要か?という問題にぶち当たる。これって実は一番重要な問題で、簡単に答えが出るものではないと思う。
 前にも書いたが、元々はプロの兵士が、平時のひまつぶし(兼訓練)として流行したのが野球。だから内輪の世界でやるのが当たり前。サッカーの方は、民衆が戦争やけんかの代替品としてやったものだから、地域対抗や国別対抗が当たり前。その違いが文化の違いだと歴史的に言えると思う。
 どの国(アメリカ、日本、韓国、台湾)のプロ野球も、国際化などなかった時に「興業的黄金期(実際のところは何をもってそうするのかハッキリしないからわからないけど)」があったということも「国際大会不要論」の源流となる。
 野球は毎日のように試合ができる。だからそれで客が呼べるのなら、とっても儲かる興業だ。その興業主にとって、またその興業から収入を得る者にとって、興業こそが一番大事なものである。やっている方がそう思っているのだから、見ている方だって当然そう思う。
 日本プロ野球の興業的黄金期は、まさに「野球鎖国」の最中だったとされている。国が比較的安定的な経済成長期にあり、暮らしが裕福になりつつある喜びを謳歌していた時代。野球文化の隆盛は、日本史における元禄期、元禄文化のような感じなのかなぁと思う。
 しかし状況は変化した。まずアメリカで興業主義の行きすぎから労使対立になって、民衆の支持を失ってしまう。競技人口が減り、TV視聴者が減り、それを国際化で補おうとする。アジアのプロ野球も大方似たような歩みを見せ、「上位」国に選手が抜けて、「鎖国」が解かれる。
 外国には違う文化があり、違う経済がある。違うスポーツもあるし、違う価値観もある。それを民衆が知った上で、野球文化はどうあるべきなのか。WBCが必要なのか、不要なのかは、その前提抜きには議論できない。
 そしてその舵取りは本当に難しい。日本相撲協会なんて、よくもまああれだけの時代激変の荒波の中で、今現在まで生きながらえていると感心しちゃう。今はまさに大変な時だけれど。
 黒船も来ちゃって、文明も開化しちゃったからには、気概を持って新しい文化を作っていかなきゃしゃあないだろうというのが私の思うこと。それにあたって、興業についても多少は考えを改めなければいけないだろう。でも元禄文化は、新時代にあっても上手く生かしていこうや、せっかく面白いものができたんだから。そんな感じ。
 やっぱりここで欲しいのは、なし崩し的に時代の変化に流されていくことではなく、しっかりとした志を持って、未来を切り開くという気概だと思う。

コメント

  1. 一虎ファン より:

    >WBCについて考える時に、野球に国際大会は必要か?という問題にぶち当たる。
    スポーツをする者の多くは、その種目の起源の違いを問わず、より上のレベルで戦いたい、より強い者を相手にしたいと思うのが自然で、必要だからという理由で国際大会が行われるというものではないと思います。
    見る側にしても同様で、自国の選手が世界を相手にどんな戦いをしてくれるのかを楽しみたいと思うのは自然な感情だと思うのです。
    必要、不要の別で国際大会の意義を問うことにはいささか「?」です。

  2. torao より:

    一虎ファンさん、
    どうも最近同じ言葉ばかりになって申し訳ないのですが…(笑)。
    あんまり違うことを言っているように思えないんですよ。「自然だからやる」「不自然だからやらない」と「必要だからやる」「不要だからやらない」は、大別すれば同じことではないでしょうか。
    腹が減ったのでメシを食う。これは自然だからであり、また必要だからでもある。
    そして国際大会とかメジャー挑戦とかは、少なくとも自然現象や生理現象ではないのですから、必要か、必要でないかの判断を除外することはできない、私はそう思うわけです。

  3. THEスタぁ? より:

    初めまして。
    管理人さんの言い方では補おうとするって言い方ですが、興行面での新たな販路(市場)を求めているから国際大会をやるってのがやはり答えだと思います。
    とくに、メジャーに関して言えば、イスラエルリーグの設立にもかなり深く関係してますし、ヨーロッパ選手の獲得、インド選手の獲得、そしてWBC。
    国内だけじゃまかないきれない分を他所で求めている。
    その証拠としてはなんですが、WBCも収益の約30%がMLBと選手会に入ってますしね。
    それと、インターネットを使っての世界への宣伝。
    サッカーで言えば、W杯がWBCに当たりますが、(正確に言えば違いますが)新たにFIFAクラブワールドカップが市場獲得戦略の一つになってますしね。
    必要か否か、やりたいかやりたくないか、というより、そうせざるを得ないという部分もあるのではないでしょうか?
    管理人さんの腹が減ったからメシを食うで例えると:「食いたい」、「食うのは大事」、「食わなければならない(食わざるを得ない)」みたいな感じでしょうか。
    市場を大きくする(新たな市場を獲得する)ことでリーグの繁栄をしようとするってことですね。
    管理人さんへ
    こちらは、相互リンクのほうは受け付けていらっしゃいますか?
    もしよろしければ、うちのブログと相互リンクのほうをよろしくお願いいたします。
    いきなり、失礼しました。

  4. ばかぼん父 より:

    申し訳ないですが、私はサッカーが戦争代わりとも思いませんし、
    スポーツの起源と今のあり方に文化云々の因果関係があるとも思えません。
    それにパリーグの黄金期はこれからだと思ってますし(^^;)。
    野球という競技を広く世界に普及させていきたいのなら、
    国際大会は必要です。
    野球に関わる人で「ローカルこそ最高だ」と考える人が
    多数派だとも思えません。
    ただ、主催がMLBであってIBAFではないところが、このWBCの立場を微妙にしています。
    が、MLBの選手が参加できなきゃ、その大会の価値が
    低くなるのは現実です。
    今のところは仕方が無いのですが、回数を重ねて行く過程で、
    MLB主催のMLBのための大会から、
    IBAF主催のワールドカップに統合させ、
    MLB所属の選手も参加するような話になっていけばなあと思います。

  5. torao より:

    THEスタぁ?さん、ブログピープルのリンクリストに追加しました。
    ばかぼん父さん、え?歴史認識の話ですよ?サッカーと野球の国際的普及の違いについて、競技の起源や普及過程が関係あるというだけの話です。もちろん、今現在は、サッカーが戦争代わりでも野球がひまつぶしでもないことは言わずもがな。そしてパ・リーグの全盛期が「鎖国時代」でなく現在であることも言わずもがなです。

  6. 西田辺 より:

    インド人。
    面白いですね。
    世界には、まだまだ身体能力の高い人の多い民族も
    有るでしょうし、そこに野球文化が根付けば、とんでもない選手が飛び出る
    可能性もでてきますね。
    MLB主催のWBC。
    各国の有力選手のスカウティングの場と同時に、ここで好成績を残し、
    その気になった選手に「どうだい、こんな連中とやってみないかい?
    金はたんまり弾むぜ」と言う勧誘活動にも思える。
    アメリカ国内的には、アメリカが優勝するのが興行的にはオイシい
    けど、他国が優勝して「その気になった」良質の選手が誘いに乗って
    くれればもっとオイシい。
    選手に金を出すのは球団で、MLB機構じゃないし(笑)
    野茂やイチローで見えてきたメジャーへの道。
    遙か彼方に見えたその道が、前回優勝によって憧れから現実に手の届くと
    「その気になった」日本球界。
    あちら側が作ったこの流れは、もう止める事は不可能だろうけど
    メジャーの下部組織に成り下がらない為にも、メジャーの対抗軸となる
    為にも、日本球界はどうあるべきかを今一度、芯の通った理念を
    示すべきだと思うんですが。

  7. ばかぼん父 より:

    サッカーはどこでも玉一個でできるため普及しやすいのであって、歴史とは関係が無い。
    国別対抗をやる前からいくつかの国にプロリーグができていた。五輪は当初アマチュアだけ。FIFAが発足してプロが参加できる国別対抗のW杯を始めた。
    だから野球もサッカーも踏んでいる過程に、さほど違いは無いと思います。

  8. toaro より:

    ばかぼん父さん、
    地域そのものである「ヨーロッパ型クラブ」と、地域を商圏とする「アメリカ型興業」の違いも決して見落とすべき視点ではないと思いますよ。同じような道を歩みたくても、なかなか歩めずにいる現実、その元凶はそこにあるように思いますから。
    とまあこういう議論をNPBにも踏んでもらいたいわけですよ(笑)。

  9. いわほー より:

    ベースボールの出自を以ってすれば国同士が戦う国別対抗(サッカーで言うワールドカップ)よりもクラブ対抗(同FIFAクラブ世界選手権)のほうが適してるんではないかと思うんですが。アジアシリーズ、ワールドシリーズ、中南米のシリーズ(どんなのかは知りませんが)から8チームくらいを集めてのクラブ世界一を争ってはどうでしょう?阪神タイガースがヤンキースやレッドソックス、キューバの強豪チームと戦う様を想像すると愉しくてしょうがない。たとえ原ジャイアンツが出ても素直に応援出来る気がするんだけどなあ。

  10. ばかぼん父 より:

    >地域を商圏とする「アメリカ型興業」
    この点と、毎日できる競技である点については
    最初から全く同意ですよ。
    「我々がルールブックだ」のアメリカが牛耳っているか否かがbaseballとfootballの普及の仕方の違いといえるかも知れません。

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