【あちらは休載】損することとムダなことと野球

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 日本シリーズに敬意を払い、移動日に予定されていたタイガースとバファローズの練習試合は残念ながら雨で中止。敬意を払ったのだかなんだかわからないけどジャイアンツは清武氏の取締役解任を発表。


清武氏の反撃はシリーズ後にするということなので、これでようやくシリーズ休戦になる。
 個人的には、ここまでの清武氏には「大義なし」と考えている。私企業のあり方についてなのだから、内々で勝手にして欲しいと思う。ただ、もしも清武氏の「まだ言ってないことがある」の中に、当初口にしていたプロ野球のあり方の問題が含まれているのであれば話は別かも知れない。
 日本プロ野球において読売という私企業がその運営に大きな役割を果たして来たのは歴史上の事実だ。それにより、現在もなおそのあり方に大きな影響を与えているというのも共通認識だと思う。そしてその根幹には、今までずっと感じてきた自己中心的な臭いがまだあるというのも共通認識なのではないか。だからその実態を、より「共和」「公共」にシフトさせていくというテーマなら、個人的に異常なほど関心を持っている。
 プロ野球は商売だからもうけなきゃいけない。でもそう言ってやってきたことは、我先にと魚を奪い合っているうちに、漁場が枯れてしまったという話に似ている。そのうちに他の食材の方が人気になって、魚の市場が小さくなったのような。あるいは米に近いのかな。
 だけど日本人の身体は米と魚を食うようにできている。どうやったらもっと米や魚を食ってもらえるか。保護縮小でも乱獲でもなく、漁場、市場を拡大できるか。いかに公共の益になるのかをわかってもらい、共存共栄によりマーケット全体を拡大するかを考えなきゃいけない。
 それは各球団がそれぞれにやるべきこと、すなわち「チームを強くすること」だけでは決して解決しない。別の目的意識を持った主体が、「まあまあ、そんなに自分の欲得ばかり考えなさんな。みんながちょっとだけ損を覚悟するようでなけりゃ、決して全体が浮かびませんよ」といさめなければいけない。そういうコミッショナー(事務局)を作らなきゃいけない。みんな感じていることで、みんなわかっていることだ。もし「清武の乱」が、その阻害要件を排除するためのものであれば、私は手の平を翻してバックアップしたい。
 野球は本来ムダなことだ。あんなに広い土地を使って、大勢の人が集まって、跳んで走ってわーわー騒いで、非生産的なことこの上ない。でもムダなことにこそ、人間の心を豊かにするものがある。それを知っているからこそ多くの人が野球を愛してやまない。野球を商売にするプロ野球もそれを忘れてはいけない。
 草野球をプレーする人も信じられないくらい大勢いる。でも市営、町営グラウンドの多くは、ボコボコで、シャワーや更衣室はもちろん、衛生的なトイレすらなかったりする。ある意味これが日本にとっての野球文化だ。「商売」と「ムダ」はまったくのベツモノ。もし日本プロ野球が、損得ばかりではない、ムダなことが大切だよと語りかけ、主張してくれていればなぁ。日本プロ野球は、日本中の公共グラウンド整備を目指します!と掲げてくれていたらなぁ。日本のスポーツ政策、野球文化はまた違った形になっていただろうと思う。
 だから、清武氏vs読売の紛争が今後どうなっていくのかはわからないが、内々の揉め事にとどまらず、プロ野球界のあり方についての問題提起になることを願っている。
 効率だけの世の中には「遅すぎる」ということがあるようだ。でも心の豊かさを求める世の中には「遅すぎる」はない。いつからでもスタートすれば、そこから一歩一歩豊かになっていける。

コメント

  1. 西田辺 より:

    清武氏vs読売球団については、最初の時点で私もかなり勘違い
    していたかも知れない。
    個人的な私怨や社内の規律をお互いに主張したいなら、どうぞ存分に。
    但し、人目のつかない所で。
    某光学機器メーカーの問題とは質が違うと当事者は言うが、
    社外に対して恥をさらけ出し、大きな波紋を呼んでいる点では大差ない。
    清武氏は内部告発を以て何をしたかったのか?
    独裁者打倒を目指したのか、他に目的があったのか…
    スッキリせず、残尿感タップリの解任での幕引きにする気満々の
    ようですが、本当に真っ当な運営がされているかの点検は各チーム
    精査するべきでしょう

  2. 魔球 より:

    物心がついた頃から、父と、タイガースの試合をTV観戦していた。
    色々な会話をしながら試合を観るのが大好きだった。
    1985年、神宮での試合があったあの日、子供の頃からのタイガースファンだった父は、声を殺して泣いていた。
    面と向かって言ってないが、そんな父が大好きだ。
    タイガースに親子の時間を作ってもらった。
    今、娘と、タイガースの試合を観ている時間が、最高の時間だ。
    娘達も、いつか同じ時間を過ごせたらと思う。

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