【八木回顧録】予感があった「引き際」を告げられた電話

スポンサーリンク

http://www.sanspo.com/tigers/top/tig200412/tig2004123005.html
1981年に在籍していたダグ・オルト氏(54)がフロリダで死亡。死因はピストル自殺…。1977年ブルージェイズが創設された時のメンバーの一人で、開幕戦では球団第1号を含む2本塁打を放った。阪神でも102試合、打率.307、18本塁打、59打点の成績を残す。開幕後4番を打つも早々に「ダメ」の烙印を押されてしまい、その後は中途半端に起用される。後半は完全に適応し、「これから」という雰囲気だったが、一年で解雇される。まだラインバック&ブリーデンの頃から日も浅く、「もっと良い外人でなきゃ」という時代だった。翌年のジョンストン&アレンがさらに悪く、1983年途中のバース来日まで「オルトがおると良かったのに」と言われる。事情はわからないが自殺というのはショッキング。合掌。
ヤクルトがポイントカードを導入し、神宮球場の集客アップを目指すという。ありそうでなかったサービスで面白い。相当数の阪神ファンがこのカードを持ちそうな予感(笑)。
楽天はモー娘。の応援歌だの、YOSHIKIを起用した本拠開幕イベントを行うだのと「ど派手路線」らしい。一方のソフトバンクは、芸能関係を一切排除し、球団の歴史を尊重した落ち着いたセレモニーで行くという。どっちも正解だと思う。どんな手を使ってでも、まずは一人でも多い人に注目してもらいたい新参者と、すでに出来上がっているものを継承する新参者。見栄&ハッタリが必要な楽天と、謙虚な「挨拶」が必要なソフトバンク。どちらも自分たちが新しい歴史を創るのだというプライドを忘れるな。
サンスポ連載、引退した八木裕氏の回想録が最終回。「引き際」の話。中でも興味深かったのが、引退後の進路として「解説者」を選んだことについて語った「ほら、オレって口下手だろ。選手に伝えるために、言葉を磨きたかった。解説者の仕事を、オレは一つの修行だとも思っている」という言葉。指導者としてのステップとして解説者・評論家の仕事が役に立つという考え方。そう、星野SDがよく勧める道だ。曰く、(1)所属したチームの外から球界を見ることで、視野が広がる、(2)球界内外の人脈形成ができる、(3)情報収集・分析・表現という、指導者として重要なスキルを磨くことができる…などの利点があるという。ただし、各メディアとも定員オーバー。その地位に就くことが選択肢に成り得るのは、現役時代から相当な人気と実力を備えているか、解説者・評論家としての資質を評価されているかどちらかだ。そしてその職で、高い評価を得られれば、例え現場での指導者経験がなくても、いきなり「監督候補」として存在し得る。しかし、現場経験の乏しさから軋轢が生まれたり、「理想主義」「夢見がち」になる傾向もある。星野SDがよく言うので、当たり前のようにとらえてしまっているが、決して伝統的な「指導者のあり方」ではないと思う。それでも今後ますますこのコースが監督への近道になって行くのかも知れない。本当に星野仙一という人の影響力は大きいものがある。
その一方で、引退後、二軍コーチからコツコツと下積みを重ね、経験と実力を身につけ上がってくる指導者がいる。引退以来一度もユニフォームを脱ぐことなく監督までという人もけっこう多い。このタイプ、豊富な現場経験をもとに心技体すべてに的確に伝授することから、選手からの人望が厚いことが長所。反面、その域に達するまで当然時間がかかること、世界が狭く、自分の尺度だけを「押しつけ」「決めつけ」る傾向、それと合わないものは排除する傾向があるのが短所。アメリカ球界では指導者といえば、こういうものだ。
いろいろな監督、コーチと接してきた八木氏が、指導者になるための道として解説者を選んだということには、いろいろな解釈が加えられそうで、誠に面白い。

コメント

  1. BSミツルH より:

    パンチ佐藤は監督をオーケストラの指揮者に喩えている。それはなるほどMLBの監督にはそのままあてはまりそうだけれども、日本の監督はもっとたいへんだ。バイオリンを弾きたいヤツが何人もいるのだから。そこで日本のプロ野球の監督は選手の資質も将来性も個人的な生活も洞察してやらなくちゃあならない。これはたいへんだ。リッキーマーチンのように暴れていればいいわけでもない。唯一の楽しみはラインナップを机上で繰っているときに違いない。
    名選手は名監督になれない、という格言(?)がある。名選手は実績に裏付けられた技能証明書を持っている。それは権威として役立つが、伝達できなければ無価値にもなり下がる。その逆として、指導力の源泉としての野球観に確たるものがあり、他方で権威の証明書を持たない者はどうするか。彼は方針のアナウンスから始めるに違いない。野球用語の解釈に突き当たるまで待つような徒弟制度ではとても間に合わない。
    「監督で負ける試合はあっても勝つ試合はない」と野村氏は言った。(残念ながらメジャーの監督の受け売りなんだけれども…。)
    「誰が采配したところで、(作戦上に)そんな大差はない」と言ったのは星野氏だった。
    「監督の器」に言及したのは田淵氏…。
    西本・仰木・古葉・上田という一時代を築いた偉大な監督…。彼らの指導力はユニフォームを着ながら育まれたものだった。ただ、広い野球観やマネージメント能力の練磨のためにはグランドを離れた方が分かりやすいこともあるだろう。生え抜き監督は一つのロマンだけれども優秀な人材として育つには時間が、時間がかかる。メジャーでも監督は優秀な人材を各球団が使い回している。つまるところ監督の最高の育成法は監督をさせることだけれども、タイガースでなくたってそんなに待てない…。(歯切れが悪い…。)

  2. BSミツルH より:

    ヤンキースの名物監督のことを言いたかったんですが、
    ≪×リッキー ○ビリー≫です。失礼しました。

  3. torao より:

    to BSミツルHさま
    日本の監督は集客の責任まで取らされるので苦労しますよねぇ。かつての西武の森氏なんてあんなに勝っていたのに、強すぎで客が入らないとか言われちゃって、まったくひどい話です。
    これまたアメリカのようにということになってしまいますが、指導者経験の場として、学生野球や社会人野球が活用できるようになれば、もう少し人材が育成されるようになるのですが。

  4. shu より:

    ピストル自殺ですか・・・
    結構ショックですね
    ラインバック好きのtoraoさんならもちろん知ってると思いますが、彼の晩年を追った
    探偵ナイトスクープを見た時は号泣しました
    思い出してしまいました
    辛いですね
    今年1年Blogを通してこうして知り合えてホント楽しかったです
    毎日かかさず楽しく的確な記事を楽しみにしてました
    toraoさん、良いお年を!
    来年は虎キチみんなが笑える素晴らしい1年になって欲しいですね

  5. 「元・阪神」

    「元・阪神?謎のトレード・突然のFA・不可解な解雇・12の理由」という本を今読んでいる。惹句の「虎は群れない。そしてミスタータイガースは去った。」に惹かれたのだ。我がジャイアンツが”集団主義”や”管理主義”を色濃く残すチームであるのに対し、嘗てのタイ

  6. torao より:

    to shuさま
    ほんのひとときでも縁があって応援したり罵声を浴びせたりした人が、不幸な死に方をしたと知るのは悲しいです。一見、華やかなプロ野球の世界の人ならなおのこと…。
    こちらこそ、shuさんのユーモアと人間愛に満ちた文章やコメントで本当に楽しませていただきました。良いお年を!

タイトルとURLをコピーしました