甘えの排除

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新甲子園でのGとの無観客練習試合は3安打した鳥谷をキーに、矢野、浅井のタイムリーで2?1と逆転勝利。


ボーグルソンが3回、久保田と藤川が2回ずつ、あと誰かと誰かが1回ずつ(早朝更新のサンスポとスポニチサイトではわからず)。ボギーは脇腹に打球を受けた後、押し出し含む3連続四球があったらしいが、最後は三者三振で締め。教育リーグで6回3失点だったというアッチソンともども、見てないから先発レース評価をつけられなくて残念。
今日はDと無観客練習試合だったかな、確か。
選手会と12球団のFA短縮交渉が決裂という報(報知)。ここから思ったことをつらつら。
「これでタイガースの○○(ポジション)は、10年安泰だ」という慣用句がある。野球に関する慣用句は、たいていスポーツ紙が作るものだから、この言い方も「スポーツ紙発」かも知れない。それはさておき、この言い方は、死語になってしかるべきだと思う。言わずもがなFA制度があるからだ。
FA制度は、とかく金持ち球団や、マスコミへの露出が高い人気球団に選手が集中すると批判を受ける。しかし、事実上、会社側(球団側)絶対有利な雇用契約で身柄を縛られていた「前FA時代」は論外。現在のFA制度も、まだ圧倒的に球団有利だと思う。たとえばこんなストーリー。
トラオ投手は、大阪A高校のエース。根っからのT球団ファンで、ドラフトでT球団入りを夢見る。しかし競合抽選の末、指名権はZ球団へ。気持ちを入れ替えて、まずはZ球団で活躍し、FAでT球団の夢のマウンドに立つことを誓う。T球団への憧れはおくびにも出さず、黙々と努力してZ球団先発の柱として成長したトラオ投手。いよいよFAまであと2年という時の契約更改。球団側もそろそろFAに向けて探りを入れる。
「もちろん残留の方向で考えてくれるよな?」「は、はい」
しかし素直なトラオ選手の表情に一瞬現れた動揺を球団本部長は見逃さなかった。周辺調査を進め、どうやら憧れのT球団への未練を捨てていないと見るや、ちょっとした不調を大きく喧伝し二軍へ落とすなどして、FA取得を1年後にずらした上で、そこそこの成績を残させるという操作を行う。そしてそのオフ、Q球団へ電撃トレード。Q球団も翌年FAであることは承知の上、とにかくこの1年活躍してくれれば良し、さらにFA移籍してくれれば、たんまりの補償金または補償金+保証選手が手に入る。特に噂されるT球団が相手なら、そこそこの選手がリストから外れているだろう、うっしっし…。
かくして苦労の末、FA権を手に入れたトラオ投手。非公式にT球団の意向を聞いてみる。
「今現在、ウチは先発投手に困っていない。人的補償でイキの良い若手を獲られるのも痛い。今回は縁がなかったと…」
とまあ、こんな話は、わざと選手の「純な恋心」を強調しただけのおちゃらけたもの。ただそれでも、現在のFAが様々な不備を内包していることは示している。
しかし、プロ選手として、プロ野球として、もっともっと大事なのは、その選手がもっとも活躍できる球団に、選手の希望で移籍できるようにしてやることなのだと思う。その上で、現在その選手を保有している球団が、その選手に残留して欲しいと望むのであれば、しかるべき活躍の場と待遇を与えなければいけないということだ。制度をたてに、選手に無為な時間を過ごさせて良いはずがない。「試合に出られない=無為」とまで言っちゃうと、少々言い過ぎだが、出られない選手本人もあの球団で試合に出たいと思っていて、その球団もあの選手が欲しいと思っていて、現球団がそうはさせるか!と飼い殺しにできる制度だと、そう言いたくもなる。
方向性として、保留期間(FA取得までの期間)は短くする方向で。保証については適正化する方向で。
年俸高騰を招く、格差拡大を招く、球団経営を圧迫する…うんぬんの批判もあろうが、本日のところはこれだけ言っておく。
帳簿を明かさずに、苦しい苦しい言われても、こっちは聞く必要がないんじゃないか、と。
これは、苦しいと言われている球団ですら法外な裏金問題があったと世に出た時に思った感想だ。どうやらそれは今も何一つ代わっていない。
球団側も甘えをなくすこと。選手側も甘えをなくすこと。そうすれば、グラウンド上の勝負はピリピリっと辛いものになるはずだ。

コメント

  1. DIME より:

    そこで終わらないんですよねえ。
    日本球界にほとほと嫌気が差したトラオ選手はFA宣言した上でのMLB挑戦を表明。
    日本球界は人的補償もあって手を出しづらい中、MLBからそれまでの数倍の年俸を提示され移籍。
    それまでは人気球団に在籍していなかったためマスコミではあまり取り上げられなかったトラオ選手も、MLB挑戦ということで露出度が飛躍的に増加した。
    結果、日本球界はトラオ選手を失ったばかりか、球界全体の露出度もまた下げることになった。
    笑えない。

  2. いわほー より:

    「無観客試合」
    一度で良いからヤスに投げさせてやりたかった。

  3. やっぱりトラ! より:

    球団側の問題はこの際なので横へ置いといてFAを使いアメリカにすぐ行ってしまう選手って何なんですかね?
    なかには純粋な挑戦もあるのでしょうが素直に頑張れとは思えません。
    増長させるメディアにも心底あきれています。
    現役バリバリ時期は海外への移籍は凍結くらいの制度を設けてもよいのでは?
    現状はファンが一流プレーヤーをナマで見れない損害を被っていますよ。

  4. ジジィ より:

    真剣に、日本プロ野球へ「危機感」を考える方々には頭が下がります。 私なんぞは、タイガースの事だけでパニックリクニッパーで、お恥ずかしい限りです。
    話題の阿部、昨日も好投!!こいつ『本物』かっ!?

  5. 西田辺 より:

    本当に現在の(日本の)FA、ドラフト、移籍の制度って
    どれほど理に適ったモノなのか、疑問に思う事があります。
    各制度がどんな理念に則って施行されているのか、誰にも
    答えられない。
    世の中の全ての人が、希望の所に就ける訳じゃないけど
    狭い世界の中で不条理な制度がまかり通るのは戴けませんね。
    改装の甲子園のベンチが何やら…。
    怪我の危険に繋がる恐れがある箇所があるとか。
    野球場では主役は選手なんだから、プレー以外の危険は
    可能な限り排除して欲しいですね。

  6. 岩国の虎 より:

    FAで移籍出来る選手は、一握りの非常に恵まれた(名声、年棒)人です。
    私は、努力しているが未だ活躍出来る場を得ていない選手に
    チャンスを与えるル?ルを選手会が提案すべきと思います。
     試案・思案・私案
     (1)入団 5年以上の選手
     (2)直近の一軍年間実績が5試合以下の選手
     (3)年俸1000万円以下の選手
    上記該当選手は毎年のドラフト会議後の選択会議において、
    下位球団から指名できる。
     但し、指名された選手が希望しない時は不成立。

  7. のののー より:

    簡単な話です。
    ・入団後一定期間(例えば5年)経って一定期日(例えば11月末)までに契約の見込みが立たなければ自動的にFA資格
    ・この期日から交渉開始期日(例えば1週間後)の間に全球団が全選手(新人を除き、外国人とFA申請者は含む)に通し順位をつけて提出
    ・FA選手獲得希望球団は、保有球団がその選手につけた順位の人数しかプロテクトできない
    端的に言えば、新井をFAで取りたければ金本と藤川くらいしかプロテクトできないということです。
    これで国内FA問題&外国人引き抜き問題が同時に解決します。
    海外FA問題は不平等条約問題にすぎません。国内に準ずる人的補償と補償金をMLBにも義務付ければ(プロテクト人数は一律一軍登録人数程度にすべきでしょうが)、日本の球団が積極的にFA選手の売り込みをするようになるでしょう。
    この制度に反対するのは、讀賣とSBHと阪神くらいでは(笑)

  8. torao より:

    to DIMEさま
    おっしゃるとおり、そこで終わらないし、笑えないんです。
    私は、どうしようもない構造的格差の是正(調整)は必要にしても、不可思議なリミッターがかかる仕組みについては全廃すべきだと考えるようになりました。
    to いわほーさま
    代わりに筒井が投げて好投したみたいです(笑)。
    to やっぱりトラ!さま
    私はそうは思わないですね。この現状を生み出した原因が選手の側にあるとは思いませんし、それに歯止めがかからないのが選手側の責任だとも思えません。MLBビジネスのなんたるかを知れば、負けるもんかとファイトを燃やすのが経営だと思うのですが。
    to ジジィさま
    安部、本物っぽかったですよ。
    to 西田辺さま
    ファンも「メディア(球団所有者側)から洗脳」されてきたということを意識しはじめたと思うんです。ファンのためとは何か、愛する球団のためとは何か。考え続けないといけません。
    to 岩国の虎さま
    ルール5ドラフトのようなものですね。絶対必要だと思います。
    あとは、スターのためだけのFAでなくする工夫(すでにMLB他にいくらでも例はあります)も必要だと思います。
    to のののーさま
    保有球団は意図的に高い順位にして良いということでしょうか?オートマチックに年俸順に並べても良いかもですね。
    ただしこれだと有資格者の動きがさらに鈍くなるような気がするのですが、違いますかね?
    私は最近、「日本球界を守るため」というテーマの前提条件の中に、何か大きな間違いがあるような気がしてしょうがないんです。

  9. のののー より:

    重要なことを書き忘れていました。この順位付き名簿=プロテクトリストで、FA宣言しても移籍が決まるまではリストから除外されません(除外対象は新人と移籍選手のみ)。
    従って、FA宣言した選手を実力以上に上位に置くと、他球団のFA選手を取りに行くのが難しくなります。なのでバランスは取れるのでは。
    これで上位選手が動かないようなら、プロテクト条件を順位+α人にして、理想のαを試行錯誤で探せばよい。

  10. のののー より:

    書いていて気付きました。αを毎年、客観的な基準で変えていけばよいのです。入団時マイナス100で始めて、1年ごとにプラス10、一軍20試合ごとにプラス1、規定打席到達でプラス3という風に。
    オールスター級なら4年でα=0、レギュラー級なら6年でα=20、一軍半なら8年でα=40になるくらいの基準が良さそうです。

  11. のののー より:

    我ながら混乱していますね。オールスター級なら順位5位以内、レギュラー級なら20位以内、一軍半なら40位くらいなので、その分を引かなくては。すなわち「オールスター級なら4年、レギュラー級なら6年、一軍半なら8年でα=0」が正しい。

  12. torao より:

    to のののーさま
    客観的な基準。「甘えの排除」とはつまりそれが言いたかったことなんです。
    根拠の見えない「苦しい苦しい」球団経営の理屈でやっていたんじゃ、何も変わらないと。
    MLBには調停委員会という選手の客観的価値(年俸)を決める機関があります。
    一方日本では「うちの球団は貧乏だから」「NPBはMLBみたいに金がないから」そういう曖昧な「甘えた理論」がまかり通っています。
    選手会も「非裏金選手」に限る(自分たちはメリットを受けられない)将来のこととして提案していけば良いのに。そうやって全員が甘えを排除していけば、全然変わりますよ。

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