平野の存在感

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なんとか「悪天候と黒い美声の一団」という悪夢を振り払ったね(笑)。


広澤ブログにしても和田ブログにしても、マリーンズファンを強く意識していたことをうかがわせる記述があって、いかに応援が視聴覚を通じて戦う者の心理に影響を与えていたかが想像できる。テクニックやデータの研究に忙しくしていても、いざ戦いの現場では、そういうものが気になったりするんだろうね。
時間、時間帯。打者には一定の待ち時間があって、その待ち時間の終わりに緊張感が頂点に達し、投球が迫ってくる。この繰り返しが野球という競技であるとも言える。その待ち時間の間に、何を考え、何を準備するか。で、そのバックグラウンドで、過去の暗い記憶を呼び戻すような音が聞こえてくれば、考える内容もまたネガティブになる。その心理的効果の恐ろしさを、選手もコーチたちも感じていたんだろうと思う。
タイガースの応援もそりゃ大したもんである。ただマリーンズのものとは方向性が違うんだよね。もっと散漫というか、おおらかというか、あんまり他人の目は意識していないというか(笑)。マリーンズファンの一糸乱れぬ統制のとれた発声と動き、集中力とは対照的に、ええように好き勝手に騒いでるというか、数をたのみにただうるさいというか(笑)。
歴史と伝統、組織、好み、能力、客層…いろんな要素があって違いが生まれるのだろうが、なかなか面白いものだと思う。
平野の右ふくらはぎは、筋損傷という診断。3日間自宅静養の後リハビリを開始するという。登録抹消(ボーグルソンも)で、代わりに林が登録された(ボギーの代わりにアッチソンが一軍帯同しているとのこと)。
前夜は、最後の最高の場面で、藤本がサイテーなポップを上げたせいで、「平野不在」を痛感した。まあそのこと一つを取り上げてどうこういうのも可愛そうだとは思うが、いかにも象徴的だったのは間違いない。でも、この日もそれに負けず劣らず、平野の存在感を感じた試合だったように思う。
トレードでやって来て、チームを変えた平野の存在は、どの選手にとっても大きいものだったと言える。その平野が離脱したことで、チャンスが生まれ、そのチャンスを一発で掴めば重用される。もし掴み損ねれば、「やっぱりダメ」の烙印を押される。平野不在というのは、それだけの大イベントだ。
これまでも三塁、ライトは奪い合いだった。そこにもう一つポジションが空く。一軍枠を林が埋める。とりあえず新井一塁は動かさないという前提でも、二塁、三塁、ライトのレギュラーをめぐる争いが激化する。
バルディリスが追撃の口火となるヒット。
関本が貴重な繋ぎ役となる2安打。
葛城が走者一掃の3点二塁打で試合を圧倒的優位にする。
林が復帰直後の打席で試合の流れを固めるダメ押しタイムリー二塁打を打つ。
出番のなかったフォード、桧山、浅井、藤本だって、次のチャンスは逃すものかと狙っているだろう。
特に価値があったのは間違いなく2番に入った関本だったと思う。出塁率リーグトップの赤星、同2位の新井、同3位の金本という打線にあって、2番打者は相手投手にとっての水飲み場である。しかしその水飲み場はオアシスなんかじゃなく、「もしここで水が飲めなきゃ絶対死ぬ」くらいの大事な場所なのだ。
M先発清水は球、テンポ、気迫ともに良かったと思う。3回、5回、二度にわたる二死一二塁での関本さえ抑えていれば、勝ちに近づいただろう。そこできっちりと繋いだ関本のテクニックは絶賛ものだ。もちろん出塁率上位3名の存在はもちろん、他の選手たちもよう打ったけどね。
フラフラだった安藤&矢野、ビクビクの継投でつないだ首脳陣、それに応えた投手陣、05マリーンズを意識しすぎとも思えたけれど、でもそれも仕方ないかもね、わかるような気がするよ。実際は08マリーンズの守備力(特に一塁手)に助けられた試合だったとは思うけど、しっかり勝つことでイメージを払拭していかなきゃいけないからね。まずはよう勝った。それで良いと思う。

コメント

  1. 「水飲み場」のくだり、最高です!!
    本当にその通りですね。
    関本選手はそういう仕事を的確にこなせる職人のように見えます。
    (ナリはでかいけど・・)
    落球したチョンボを取り返すに余りある打席に
    彼の神髄を見た気がします。
    ベンチで拳突き挙げてましたね、イクロー選手に向かって(笑)
    平野選手が復帰した時にとんでもなく起用に悩むほどの活躍を
    期待したいですね。

  2. やっぱりトラ! より:

    関本、評価分かれますねぇ。
    それはまぁそれとして…
    DH制野球風の攻撃はおもしろかった。
    2死から出塁した安藤に思わず毒づいたのに5点も入るとはビックリ!
    パリーグで防御率のいい投手ってスゴイなぁと改めて感心。
    リンの一発回答も見事。
    期待されて簡単に応えるその様はやはり只者ではない。
    できるならば怪我のイメージがつきまとう背番号31を個人的にはやめて欲しいところ。

  3. ジジィ より:

    今岡が(一軍に)いない今、「新井の一塁は動かさないという前提」を無くせば、一塁に林や葛城を有効に使えると思いますが‥‥好調新井は動かしヅライかな!?

  4. きゅー より:

    しかし、ファーストと言うポジションは左バッターに対してはサードと全く同じ技量が必要な重要なポジションと思いますよね。
    でも実際は守備に一番難があるヒト用の、楽なポジションって風潮もあってよく分からないですね。
    オーティスがシーツだったら完全に負けだったと思います

  5. Sugiatsu より:

    ファーストが一番楽って認識や風潮は草野球レベルの世界だけでしょう。先発投手は大変だけど、中継ぎ、抑えは投球回数少なくて楽みたいに思われる風潮と同じようなものかと思います。それはさておき、林が戻って来たからには新井サード有り有りですね。監督どうするんだろう?
    昨日のお立ち台に葛城と林が立ちましたが、同じ左の外野手同士の超ライバルって事で、考え深いものを感じました・・・狙って選ばれたのだったら、ちょっと意地悪だな・・・考えすぎか….

  6. apatite より:

    新井サード=今岡引退勧告なんです。だから、最後の最後まで、岡田は、新井をサードには出来ません。

  7. hakachan より:

    4-5の28日の試合は、勝ちを優先するなら4回で投手交代が正解でしょうが、岡田監督は1年間を見据えた采配に徹していると思います。3連勝そのものが計算外のはず、平野のアクシデントも計算に入と思いました。やっぱりタイガースが負けた翌日は何となく気分もすぐれないし、朝刊を見る気もしません。でも考えてみたら、づう?と勝ち続けるなんてことは不可能なので、「勝つに不思議な勝ちあり、負けるに不思議な負けは無し」で敗因を冷静に分析する楽しさを見出そうではありませんか・・・・

  8. こんにちは。
    私も平野は存在感があると思います。
    岡田監督は小さい選手を好まないのかな(藤本使わなかったから)
    と思っていましたがそうじゃなかったですね。
    平野のつなぎの意識のおかげで打線がつながっていると思います。
    普通だったら打点を挙げたい、記録に残る
    ことをしたいと思って当然と思いますが
    平野は私欲を捨てて頑張ってるようです。
    05マリーンズの意識ですね、
    日本シリーズでロッテと直接対決して倒して日本一になったら
    タイガースファンはようやくその意識から解かれる事になるんでしょうね。

  9. のののー より:

    これが後で「良い休養になった」と言えるようならいいのですが。アニキ並みの持続的な影響を与えてほしい。ルーツ監督では悲しい。
    交流戦の間は林は代打かDHでしょうが、リーグ戦に戻った時が最終決断ですね。宮崎オーナーの最後の仕事は今岡トレード交渉かも。葛城と林が好調を維持すればそうなりそう。
    あとはバルをどこで使うか。平野負傷はバル2塁テストのチャンスでもあります。せめて負け試合ではそうしてほしい。

  10. tigerjazz より:

    「もしここで水が飲めなきゃ絶対死ぬ」
    素晴らしい表現ですね。感心仕りました。

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