苛烈さの差で悔しい逆転負け

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677##[阪神]たわいない話

 タイガース久保、スワローズ館山。昨年実績では両チームとも相手の先発投手を苦手にしている。おのずと両監督のゲームプランが試合展開に現れる。和田監督が採ったのは、確実に二塁に走者を進めることを重視する戦術。小川監督の方は、失敗覚悟で思い切って走者を動かしていく戦術を採った。それぞれに自分の手持ちのコマ、相手の強み弱みを考えた上での選択だったのだと思うが、結果的に小川監督の思いきりの良さが自軍をアグレッシブにし、タイガースは受けに回って弱い部分が出てしまった。
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 スワローズが久保を苦手とする理由はいくつかあるだろうが、クイックモーションのスピードを意識して、得意の走者を動かす攻撃がしにくいというのもあったはず。今季まだ阪神に勝ちなしの3敗となって、「ダメ元」で思い切っていこうという開き直りだったのだろう。現に、4回はエンドランでライナーゲッツーもあったし、9回は代走比屋根の盗塁失敗(投手渡辺)もあったが、失敗で流れを失うことなど恐れずに、とにかくアグレッシブに動かそうという決意だったのだろうと思う。
 1点目チャンスだがゲッツーもあるという4回表一死一三塁で畠山が初球を中犠飛したスイングも、逆転となった6回表、田中の迷いない走塁も、併殺を阻止したミレッジのスライディングも非常にいいスタート、勇猛なチャージ、ガッツを感じた。これは監督の思いきっていったろうという勢いが生み出したものだ。
 結果的にタイガースのゲームプラン「安全確実に行こう」は、試合前半功を奏した。平野出塁、柴田バントという形が二度当たって、好投手館山から先制、中押しと理想的に進めた。しかし、試合中盤は「確実に」が、守備での消極性になってしまった。
 6回一死一塁、上田のヒットはレフトの右、一走田中は金本が無理な体勢で送球できないことを見透かして三塁を取る。金本が今できる精一杯のプレーなのだろうが、三塁送球の構えすらなく、二塁に返球する消極的な姿は、投手やチームを落胆させる。ミレッジ四球で一死満塁、畠山の一塁左への強いゴロをブラゼルが好捕、素速く二塁に送球、併殺コースと思った瞬間、鳥谷はボールを放さず、一塁への送球をやめた。スライディングを避けた時の足の運び、握り替え、一塁に戻るブラゼルと久保がごちゃごちゃっと視野に入る…瞬時の危険回避だったのだとは思うが、逆転の1点を防ぐために「ダメ元」でも投げなきゃいけないプレーだった。すべて「バント策」が悪いなどと言うつもりは毛頭ないが、どこかに徹底しない、それこそ煮え切らないものを感じる。
 あえて言うなら全試合を1?0で勝つ(試合が始まればとにかく相手より1点多く取って勝つ)、そういう野球に徹し切れていない戦略の甘さ。確実に送るか走者をダイナミックに動かすか、そういうのは相手とのかけひき、試合展開の読みだから別問題。「指揮官の苛烈さ」の差が勝負を分けたように思う。
 序盤の攻撃、平野、柴田、鳥谷、新井がそれぞれの役目を果たし、小宮山が打順を回したことで、狙い通りにできた2点。このリードを終盤まで保って逃げ切る野球ができるか。監督の覚悟が優勝へのキーになる、そう浮かび上がった試合だった。
 最後9回二死から金本ヒット、代走大和代打桧山で起死回生の同点の1点が奪えるかワクワクした。あわやというファール、そしてあわやというライナーで試合が終わった。最後まで集中して粘る野球はできている。新しい熱い和田タイガースとしてチームが大きく変わるには、もうあとちょっと。きっと実現できる。
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コメント

  1. ガク より:

    昨日は最後までワクワクハラハラさせてもらいました。
    守り勝つ野球を信条としている和田野球がレフトに致命的となりうる不安を抱えているのがもどかしいです。
    もちろん金本の打撃復活は頼もしいのですが。
    1点差で負けるとどうしてもそういうところが目立ってしまいますね。

  2. 虎ねえ より:

    金本選手には打撃面で期待はしてますが、あの年で毎日の様にスタメンはきつくないかな。
    今はまだいいかもしれないけど、疲れや夏場を考えると…たぶん監督らも考えていると思うけど。
    ヤクルトは阪神に未勝利だったから、昨日は中日同様、何としても、と思っていたのでしょうし、阪神はその点甘かったんでしょうね。
    昨日の試合前は延長戦を予想してましたが、残念でしたね。

  3. いわほー より:

    最終回、代走大和が走らなかったのはベンチの指示?それとも大和が躊躇?
    まさかツーアウトでベテラン打者がバッターボックスの時は走らないのがセオリーだなんてベンチや若手選手が信じ込んでしまってる?
    アノ場面で走りのスペシャリストを代走に送ればどの球団だってリスク覚悟で勝負させますよ。
    和田監督の采配は概ね好感持てるんですが、代走の使い方や作戦だけは、どうにももどかしい。

  4. エム吉 より:

    新井がヒーローになりそこねましたね(汗)
    皆さんおっしゃってる通り同じく金本の守備がもどかしいです。勝負強いバッティングを生かすなら代打待機もありじゃないかと思います。全盛期並に打ってたら話は別ですが…。
    話は全然変わりますが筒井は今年花開きそうですね♪自信もついてきたみたいで頼もしくなってきました!

  5. 鳴尾浜トラオ より:

    いわほーさん、行かないっていう手もありだと思うんです。二死なら当たりゴーなので、長打コースなら一本で帰れます。走らなければクイックで直球を投げてくる確率が高まるので、バーネットならなんとかなると。
    ただ、桧山の初球の見送り方からすると、ベンチは大和に青信号を出していて、大和が走「れ」なかったんだと私は思います。初球、2球目まで、セットに入ってすぐに牽制球なしだったですよね?バーネットは今季初見だったし、自信なかったのだと思います。ヤクルトサイドはたぶんミーティングで徹底済みの戦術ですね。
    若い捕手なので一か八かでも良かったとは思いますが、牽制球入った3球目もクイック速かったし、行けばかなりの確率でアウトっぽかった。大和の判断は仕方ないと思いました。でももし走者二塁なら、最後の桧山のは頭を越した「かも」ですね。
    最終的にはスタートできるカウント作って、大きなモーションで投げさせて、ちょっとでも外野を深くまで走らせる打球なら一気に帰ってきそうなランニングまで持っていったので、私個人としては、桧山と大和の二人でやれることは精一杯やったと評価してます。

  6. トラ11 より:

    あの大和の場合、家族一同、あれは走れんなー!と叫んでました。
    でも、いわほーさんのような考え方もあるのかも。
    それにしても惜しかった試合でした。
    今日こそは勝っていこう!
    安藤ロイドがんばれ!

  7. 虎ジジィ より:

    やっと繋がりました!toraoさん先程はすみませんでした、やはり私のスマホ(w)の不調でしたが、なんとか立ち直りましたw
    金本のプレーでいろんな意見があるようですが、ライン寄りのポジショニングはベンチの指示だと思うし、個人的にはセカンドに投げた事は何ら間違いではなかったと思います!ただし相手が「レフト金本さんだから行っちゃえ」で躊躇なく行ってしまう事が悔しいです。
    あと「代走大和」のシーンは、これも個人的には大和だからこそ一球目からスタートして欲しかった!もしベンチが「ストップ」を指示したのなら少し残念です。

  8. なかっち より:

    あの場面の大和は、私も走らなくて良かったように思います。あの場面の代走は、ストレート中心の配球をさせるがための代走やったと思うんです。林がいればあの場面桧山やなしに代打林やったかも(いてない選手の名前挙げてもしょうがありませんが(笑))

  9. melbourne より:

    近年の阪神になかったことだが,「負け方がいい。」と思う。
    上から目線のような言い方ですみません・・・

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