劇薬と体質改善

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阪神D5・青柳ら3人1軍合流「自分のものをすべて出せるように」(サンスポ)

一軍練習に青柳、守屋、安藤が初合流。福留、ヘイグは再合流。
一方、坂本、ペレス、中谷は二軍へ。強い張りが残る岩貞(左肩)、岩崎(背中)も二軍へ回った。先発枠を争っていた2人が二軍へ「本籍」を移すのは心配ではあるが、鍛錬課程の出来事だろう。投手陣については二軍戦も活用しながら調整と選別が行われていく。まずは今日明日福岡、楽しみやね。

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キャンプが終わり、オープン戦期間に入っても、一二軍の連携や、練習の質と量に改革が加えられているという報道がある。さて改革の効果はいつ現れるものなのだろうか。

私の結論としては、金本効果が最大に現れ、優勝のチャンスが最大になるのは1年目、今年ではないかと。

金本改革とはなんだろう。一つは怖さ。怒らせたらどんな目にあわされるかわかったもんじゃない。見放されたら終わり。選択する余地も、迷っている余裕もない。やるしかない。

もう一つは希望。可能性を否定されない。失敗を成功へのステップとして見てくれる。コミュニケーションを取ってくれる。教えてくれる。笑いかけてくれる。だから認めて欲しいという想いが強くなる。

さらには仕組みを変えていく行動力。なぜ阪神が勝てなかったのか。おかしいと思うことを発信し、意見を求める。自分の意見を出し、コーチ陣の声を聞き、めんどくさがらずに行動する。まずはやってみる。

その結果、金本阪神の大テーマは「競争状態を激しくするにはどうすれば良いか」に行き着いた。初年度からこれだけここに注力すれば、その効果はそれぞれのポジションに留まらず連鎖し、相乗効果を生んでいく。安泰といわれるレギュラーにまで飛び火していくことが容易に想像できる。

他にもいろいろあるけれど、いったんこのくらいで止めておく。
で、それらを効果に着目して粗っぽく分類すると、大きく変える「劇薬」という部分と、じわじわ変えていく「体質改善」という部分に分けられる。

劇薬が投与直後に効果最大となるのは、まあ当たり前のことだ。さらにチームというのは互いに作用し合う相乗効果が働くから、劇的変化が伝搬し、作用し合い、一気に大きな化学変化を引き起こすことがよくある。近年、新監督就任とともに優勝というケースがことのほか多い理由はこれだ。

去年、真中元年のヤクルトが連続最下位から優勝へとジャンプアップした理由もそれだろう。実力はあるが層が薄く怪我に泣かされてきたというチームが、去年に限ってはそうではなかったという見方もある。でもバレンティンはほぼ欠けていたのだし、館山が加わったのも中盤以降だ。連続最下位からの優勝という劇的な変化が真中新監督の効果と無関係とするのは不自然。
怪我が比較的少なかったという結果も、「運」に左右されただけのことではなく、新監督への「気」の表れと考えるべきなのだ。

金本知憲という人間に劇薬の要素があるのは誰もが感じるだろう。だったらその効果が最大である初年度が最大のチャンス。当然すぎる理屈だ。また人間とは恐ろしいもので、どんな刺激にも次第に慣れてしまうもの。劇薬の効果には時間的な制約がある。

完成形が「劇薬」である一方、金本知憲という人間が形成されるまでの過程は、ほぼ100%「体質改善」にあったのではないか。ひょろひょろで足だけ速かった不器用な男が、やると決めたことをコツコツとやり続けてチャンスに強いホームランバッターになり、40代半ばまで現役を続けたのだから。

それだけにすぐに効果が出ないことでも、まずはやり始めて、継続していくことの有効性もよく心得ている。それは選手個人の努力としても、球団単位の取り組みとしてもだ。体質を変えていくという考え方や習慣、仕組みの重要性がチームの隅々に浸透し、実際に行動が開始され、蓄積としての効果が実感されるまでには時間がかかる。じわじわいくものだから。こっちの方は続ければ続けるほど力になっていく。

でも別の言い方をすれば、少しずつ力になっていくという点において、つまり「変化量」というところに着目すると、今現在だろうと3年後だろうと違いはない。ゼロだったものを、何はともあれ始めるということがもたらす心理的効果の方がむしろ大きい。自信、希望というものがある、やり始め期間こそ強く効果が現れるとは言えまいか。
本当の体質改善にはまだまだ時間がかかるのだけれど、「今オレは着々と体質改善に取り組んでいるんだ」という気分があるだけで、始めていなかった時と比べると全然違う。だからやっぱり「やり始めの時期には成果が出やすい」のだ。

だいたいコツコツやり続けるのは習慣化されるまでは、きつくてしんどい。コツコツを習慣化するためにも、なんらかの刺激があった方がいい。コツコツ効果も劇薬から刺激を受けているのだ。

まとめ。「チャンピオンになれるかどうか」。プロ野球の結果とはこれだけだ。しかし勝負事は運不運にも左右される。努力が必ず報われるなどという甘い世界ではない。何年以内にしろとか、できるとか、しなきゃいけないなどと言うつもりはまったくない。常に明日のチームを強くすることを考えればいいだけのことだ。
金本阪神は、1年目に最大のチャンスを迎える。2年目以降は劇的部分が大きく減少するので、コツコツ部分を増加させて補っていくことになる。それは王道ではあるけれど、変化のパワーは1年目の爆発的なものに比べると地味なものになる。願わくばコツコツ部分は監督が代わろうとも球団の習慣としてずっと蓄積を継続するべきだ。でもこれまでのことを考えると、チームとして継続していけるかどうか確信は持てない。

だからこの1年目に懸けて欲しい。これが私の見積もりだ。

コメント

  1. 西田辺 より:

    私も危惧するのは、この劇薬の効能。
    今はピリッとした空気でやれてるけど、これが2年3年と経過した時に・・・
    単なる対処療法では体質改善には繋がりません。
    本当に難しいのは、この劇薬の効果が切れた時。
    楽しみでもあり、不安でもあり。

  2. 虎ジジィ より:

    昨日のコラムと今日のコラムだけで、虎系本が出来そうなぐらい深い!

    頭が悪い私には難しい事は解りませんが、要するに……
    劇薬というのは即効性はあるけど、持続力がない。だからまた劇薬を求めてしまいがちだけど、コツコツを習慣化しチームの底上げの持続も図る。
    と、まあこんな感じですかねぇ。

    最下位から昨年優勝したスワローズもあれば、13年日本一になったイーグルスは翌年最下位になった。
    少し死語になっていますが「ちょっとしたスパイス」加減で天国と地獄の差が出ます。
    今季は戦力的にはセ・リーグは横一線の戦国時代(マエケンが抜けたカープはやや不利?)、しいて言えば、勿論超変革でチーム力の上がったウチと、潜在能力と新監督パワーの讀賣、若き主砲を脂のノッた中堅が支えるベイスターズこちらも新監督パワーがある。この辺りがライバルになりそう。

    スパイスでは無理でしたが、金本監督という劇薬で、なんとかこの戦国時代のセ・リーグを今季制して欲しいモノです。
    家康になれるのか?金本監督?!
    私も劇薬の即効性で今季が最大のチャンスだと思っています。

  3.  Yalkeys より:

    劇薬の効果を最大限に発揮しそうなのが今季というのは、まさにその通りと思います。
    その理由を私なりに分析すると・・・
    ①飛び抜けたチームがない。
    ②鳥谷が豹変した(少なくとも現時点では)。
    ③競争原理が機能している。
    ④コーチ陣が一新した。
    ⑤球団も本気モードに見える。
    今季こそ「攻守走」の三位一体を期待します。「走」のかさ上げも不可欠。

  4. こうさん  より:

    読売VS日ハムをチラッと観たが、ベンチには由伸がいてファーストコーチャー には井端。「オールスターか❗」とツッコんでみた。今のところ読売に怖さは感じない。
    今日のトラオさんの文章。哲学的で理数系的で医学的で…。トラオさんじゃなければ「1年⁉それはちょっと…」と思うが、トラオさんは理由と根拠を、しっかり示してくれる。そこに上っ面な俺の意見が入り込む隙はない。
    今日は読みながら「よし。これをサラッと触れてみよう。」と思ったことが最後に書かれていた。それは「監督が代わろうとも習慣にすべき」という部分。人を育てる次にタイガースが苦手としていることだ。「なぜ外様にできて純粋なOBに出来ないんだ?」を繰り返してはいけない。
    今季、解説席に座るだろう和田さんから一番、聞きたくない言葉がある。それは「本当は○○をしたかった。」という言葉だ。
    今日のトラオさんの文章。…俺の完敗だw。これこそがプロの構成力。

  5. そよ風 より:

    巨人は世代交代の過渡期、広島はマエケンの離脱、ベイスターズは話題性だけの外国人監督。
    阪神がリーグ優勝するには絶好のチャンスでしょう。

    本気で優勝する気があるなら先発陣の見直しでしょうな。
    30歳前後の働き盛りを外から取って来ないと…崩壊の危機もあると思いますよ。
    トレードや補強には期限があるのでしょうか。

    金本監督はカリスマ性がある。
    しかしそれ以上に取り巻きがいい。
    球団やファンの後押しもある。
    1年やそこらでは金本体制は崩れないですよ。

    問題はそこではなくて、「変革」の言葉の裏には「補強しない」という球団の経営方針が潜んでいるという点でしょう。

  6. 虎っしー より:

    今年はセリーグ全体を見ても元々チャンスの年だと思います。真中スワローズでさえもバーネットが居なくなった影響は大きいはずです。去年も史上類を見ない混セでしたが、今年もなかなかなんでは無いでしょうか。

    日刊スポーツの報道なんですが、金本監督が高山はオープン戦全てでスタメン起用すると発言したみたいです。
    横一線、鳥谷、福留、ゴメス以外は全て競争と発言した金本監督にそこまで言わせるというのとは、やはりプロの目から見ても高山は別格。開幕スタメンもかなりあり得るのでしょうか。藤浪以来のスーパールーキーなんですね。

    個々の選手でそれぞれキャンプの総括を報道から求められコメントしているのですが、やはり充実していたとい内容が多いです。それは見ている方からでもわかることですが。
    その中で梅野のコメントが印象に残りました。「個人的には悔しさの残ったキャンプだった。」側から見ていても試合にあまり使ってもらえない。打席数もあまり与えられない。首脳陣の評価は岡崎、小宮山、坂本ばかり。報道陣さえ坂本坂本坂本。今逆境にある中で、悔しい!見返してやる!と思えて居るなら梅野は心配無いんじゃないかなと思いました。勿論開幕は梅野で決まりだという意味では無いですよ?キャンプの梅野に対する首脳陣の扱いはやっぱり梅野に発奮を促すものだったんでしょうかね?

  7. ken3953 より:

    劇薬と体質改善、別々のものと考える事は重要だと思います。

    劇薬については既に十分な効果を発揮していますね。
    あとは体質改善ですが、難しいのはそもそも病巣が何なのかが
    ハッキリしない事だと思ってます。
    オーナーを含めた経営陣か、監督・コーチら現場トップなのか
    選手達なのか、球団職員なのか、我々ファンなのか。

    そして具体的にどうなれば良いのか。
    勝利に貪欲なのは良いのですが、目の前の勝利にこだわるのが
    ベストなのか、目の前の勝利よりも長期的なプランを重視すべき
    なのか。経営陣も新しい事を何でもかんでもするのがいいのか
    コストを抑えてファンサービスや放映権料等の引き下げに
    注力するのが良いのか。
    色々あるのでしょうが、何が良いのかどうあるべきなのかが
    漠然としている状況に感じられますので、球団の具体的な
    理想の形を詰めて考えてみるべきかなのかと思っています。