冬への指針

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「12.3」は、Jリーグ発足以来、もっとも勝負の神様から祝福を得た一日だったと思う。プロスポーツ興業にとって、「大混戦」「死にもの狂いの勝負」ほど尊いものはない。長い1シーズンの最終日で、別々の5試合を戦う5チームに優勝の可能性があるという史上希なシチュエーション。そしてその最後の一瞬まで、勝者がわからない戦いに、何度も驚愕の声をあげた。
この祝福に満ちた一日は、崇高な理念と志を持った、サッカーを愛する人々によってもたらされたものだと思う。決して偶然などではないだろう。おめでとう!日本サッカー。


さて、サッカー界の明るい未来のことは専門家に任せて、いつものように「野球界の冬の時代」について考えよう(笑)。
「選手に正当な報酬を与えたいと考えるのなら、ファンが野球にお金を払うしかない」
昨日のエントリーをそう結んだが、もう少し突っ込む。
玉木正之氏のHPにある「イーグルス1年目をどう総括する?」が面白かった。好き嫌いの分かれる論者だろうが、私はお上にたてつく在野精神がけっこう好き(笑)。さて氏の論旨とダブらせながら、放映権収入が減少していくであろうプロ野球界のあり方について。
Jリーグ創設時に、それまで当たり前のように使われていた「ファン」という言葉にに代わり、「サポーター」と呼ぼうということになった。正直「なんのこっちゃ」とその時は思ったが、ものの呼び方に願いと思いを込めることがこれほど重要なことなのかと、最近改めて思う。「ファン」は熱狂的な愛好家という意味、一方「サポーター」は支える人の意味。良い時にぐわっと盛り上がるのが「ファン」で、悪い時にもぐぐっと下支えするのが「サポーター」。今さら言葉をどうこう言うのもなんだが、野球好きは「サポーター」になる覚悟を決めないといけないだろう。
その前に、球団、球界は、サポーターの負担をできるだけ少なくできるようにしないといけない。無駄な支出は切りつめて、有効な政策のために集中して投資する必要がある。また安定収入を少しでも増やすために、哲学と美意識に適うのなら、売れるものはすべて、できるだけ高く売る義務がある。グッズにしても、看板広告にしても、ネーミングライツにしても、貴賓席にしても…ありとあらゆるアイディアを絞って、サポーターの負担を軽くしないといけない。その上で、サポーターを尊重し、真摯に支援を請うたら良いと思う。
さて、支援するとなったら、その方法についてもよく考えてみる。まずなにが提供できるだろう。試合を観に行くこと。一番大切なことだろう。スタンドに空席がないということが興業のクオリティや評価を上げていく。
テレビを見る。視聴率調査の機械がついている人はもちろん(笑)。有料放送で見るというのも支援活動だろう。
消費行動はできるだけ球団や球界に利益をもたらすようにする。関連する商品を買う。野球がらみの宣伝に力を入れている企業のものを選ぶというのも良いと思う。
他にもお金を使うという直接的な方法はたくさんあるだろう。
自分の得意な力を生かして、労働力を提供するという方法も立派な支援活動だと思う。インターネットで情報を発信したり、交流したりしながら、熱を高め合うなんていうことだってサポートになっているし、可能性は無尽蔵にあると思う。ほんの小さいことでも、一人一人が「野球のためっぽい方を選ぶ」ことで、サポートは蓄積されていくと思う。
自分のひいきチーム以外でも、例えば地元に近いチームをいろいろな面からサポートする姿勢がとても大切になると思う。特に条件的に恵まれていない球団は、大きな心でサポートしていく必要がある。「大混戦」「死にもの狂いの勝負」を少しでも多くしていくことが、ひいきチームや野球界全体のためになる。
何事も、与えられるものを受け取る一方の「プッシュ型」じゃなく、参加して一緒に盛り上げる「双方向型」が現代風だ。同じ支えるなら、しかめっ面で踏ん張るのではなく、ファンとして楽しみながら盛り上がって行きたいと思う。

コメント

  1. いわほー より:

    昨日のJリーグの余韻が少し残っていますが、それにしてもスポーツの神様は、時に残酷なことをされます。あと3分でで、優勝を手にしかけたチームを、相手チームの一蹴りでいっきに五位まで突き落としたのですから。1位の賞金2億円。五位はわずか4000万円。勝負の世界はシビアです。タイガースもセレッソも最後の最後に、私に負の感動を与えてくれましたが、暗黒時代のタイガースのことを思えば、幸せなストレスだ。あの時は、「無感動状態」に近かったから。
    子供の頃から野球に親しんでいたから、プロ野球の姿こそ、職業スポーツのありかただと疑うことを知らなかった。Jリーグが発足して、プロ野球の常識が普遍のものでなくなったことは、目から鱗でした。お互い刺激しあっていって欲しい。某球団のドンのように、Jリーグを見下して無視を決め込んではいられない時代であることを、ファンはみんな知っているのですから。
    皆に乗り遅れないように、早速、本屋さん行って、例の文庫本を買ってこようっと。^^

  2. おかぼん より:

    おはようございます。
    サッカーはサッカーで課題があり,必ずしも明るい未来ばかりではないと思いますが,とにかく昨日は日本のサッカーいやプロスポーツ史に残る一日になるでしょうね。
    今日の記事は,「虎生活習慣」の中に「自分のできることを考える」ことを入れようという提言として受け止めたいと思います。
    さて,何ができそうかな?
    >他にもお金を使うという直接的な方法はたくさんあるだろう。
    ただし,「上場された球団株を買う」は想定しない(笑)。
    WOWOWやめたから来年はスカイAに加入しよう。でもフジテレビのデジタルはちょっとな(笑)。
    >インターネットで情報を発信したり、交流したりしながら、熱を高め合うなんていうことだってサポートになっているし
    こんなコメントでもいいのですか? でももっと発信できる情報を考えよう。
    >自分のひいきチーム以外でも、例えば地元に近いチームをいろいろな面からサポートする姿勢がとても大切になると思う。
    ファームのレベルでは,自宅から車で10分くらいのところにスワローズとマリーンズの2軍球場がある。来年からは機会があればイースタンのゲームも見てみよう。
    …まだまだ考えが足りないようですが,少しずつ…。

  3. いわほー より:

    逆に球団はファンにどういう経済行為を期待しているのだろう。
    ・タイガース主催ゲームに足を運ぶ(ビジターゲームは直接収益にならない)
    ・テレビを視聴をする(CS加入する、もしくは地上波で視聴率アップに貢献する)
    ・ファンクラブに入会する(親子、知人、友人だでも巻き込む)
    ・タイガース公認グッズを購入する(非公認は×)
    ファンができる、球団収益につながる経済行為なんてこんなもんか。
    直接収益にはつながらないが、間接的に貢献する行為だってある。(括弧内はtoraoさんの貢献度)
    ・ファン拡大の布教活動を行う(既にファンである人を、よりディープなファンにしているだけだからなあ…(笑))
    ・タイガースのイメージアップに協力する(うん、これはタイガースファンの良心として貢献していると思う!)
    ・球団および親会社の批判は慎む(球界を思って、時に球団を批判するから…(笑))
    まあ普通のファンをディープなファンにすることも、浮動ファン層をしっかりと根付かせることにつながっているから、タイガースには寄与しているはず。たまの球団批判は、将来を見据えた建設的意見でもあるし。そんなわけでtoraoさんのタイガースへの貢献度はかなり高いと見た。阪神タイガースはtoraoさんに年俸をお支払すべきだ。私を代理人に指名してくれれば、直接、球団にかけあってあげてもよいぞ。3年契約で年俸、税込み8万5千円でどう?(笑)

  4. おかぼん より:

    >3年契約で年俸、税込み8万5千円でどう?(笑)
    監督からは
    「もうちょっと出してやらんとアカン。読者の反応とか数字以外のところがある。一年間ほとんど休みなしやからな。配慮せんと。」
    とコメントをいただいております(笑)

  5. torao より:

    なんか知らんうちに年俸交渉されてる(笑)。
    to いわほーさま
    現状の球界を見ると、タイガースはずっと恵まれていますから、Tファンが他の球団のことも支援するということはとても力になることだと思います。たとえば関西の方は、Bsを支援したり、中四国の方はCを支援したり、関東の方はYBやSを支援したり。もちろん対Tの試合を観に行けば支援もクソもございませんが(笑)、そうでなければけっこういろいろとできるような気もします。
    ところで
    >3年契約で年俸、税込み8万5千円でどう?(笑)
    いいですねぇ、いかにも本当は10万円で契約しているのに、1万5千円抜いてそうなところが良い!(笑)。
    to おかぼんさま
    CS局にお金を払うのは良いのですが、いったい球団にはちゃんと実入りがあるのかどうか不安になります(笑)。スカイAとかって、あらゆるセットに含まれていて安売りしすぎじゃないかなぁ…。
    2軍戦を観に行くっていうのは楽しそうですね。特にそういう情報は世間一般に非常に乏しいでしょうから、情報を発信することで球界に貢献大でしょう!きっと。
    ああ、監督はそんな風に言ってくれましたか。もう感激です。次はいくらでもサインします(って保留した覚えもないけどw)。

  6. なぽー より:

    サッカーの話題の方ですが、昨日も凄かったんですけど2003年の後期の最終節ってのが物凄かったんですよ(このときは四チームに優勝の可能性があった)。
    試合自体が凄く劇的でしたし…。
    で、言いたいことは、Jというプロリーグは物凄く面白いんですよ。って事。
    比較的日本代表にしか目を向けられず、リーグの取り扱いが少ないサッカー。
    日本代表を作ろうとしたらなかなか人が集まらない野球(勿論問題が多すぎるのが原因ですが…)。
    どちらもしっかり地に足が付いていない気がするのは私の気のせいでしょうか?
    国民性?

  7. 桜林の猛虎打線 より:

    「12.3」最も勝負の神様から見放されたクラブのサポのオレが来ましたよ。
    このクラブは虎ファンで言う「1992」の気分を何度も味わわせてくれる…
    まあ、それだから辞められないのだけれど。
    そういや虎暗黒時代に、とあるラジオで流れた「虎川柳」をナゼかふと悲哀に満ちた長居で思い出した。
    「トラファンを 辞めれるモンなら 辞めとるワ!」

  8. grayghost より:

    >ほんの小さいことでも、一人一人が「野球のためっぽい方を選ぶ」ことで、サポートは蓄積されていくと思う。
    「読売新聞です。新聞を取って頂けませんか?」
    「アホかぁ?、俺はタイガースファンやぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
    「そうですか!うちは野球が得意なんですよ!観戦チケットとかのプレゼントがあったり…」
    「うるさいっ!俺はアンチ読売なんじゃぁぁぁぁぁぁっっ!このボケがぁぁぁぁぁぁっ!帰りさらせっ!」
    あっ、「野球のためっぽい方を選ぶ」というのと「野球っぽい方を選ぶ」というのは別物ですね。
    そういえば、こんな事もあった。
    「今日は大阪に行こう。」
    「何で行くの?阪急?JR?」
    「阪神に決まってるやんけぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」
    昔は、みんな野球っぽかった…
    さて、本題。
    参加して一緒に盛り上げる「双方向型」にお客さんを誘い込むのも、
    本来、当然球団の努力だと思うのだけど。
    生協の白石さんに習って、ファンと球団のコミュニケーションの場を設けるってどうでしょう。
    ブログなんて、非常に有効なツールでしょ。
    WEB上で「一言カード」のような質問、要望を受けるものを作り、
    コーナーで行われる楽しいコミュニケーション。
    もちろん、どんな問いでも一生懸命に答えて頂きます。(笑)
    すごく双方向型だと思うんですけど。

  9. イエロー より:

    阪神へのtoraoさんの貢献度はかなり高いですよ。 ここにおじゃまするようになる少し前から、阪神ファンと野球ファンをやめかけていたんですが、toraoさんの文とみなさんのコメントを読んで、「野球も阪神もいいもんだ」と再認識したんです。ファン離れを阻止したことと、以前よりディープなファンにしたことはかなり貢献度大ですよ (笑) 球団の公式サイトもですけど、月刊タイガースでコラムを掲載するってのはどうでしょう!?両方合わせて10万+出来高(どれだけファンを増やしたか、またどれだけディープなファンを増やしたか)。出来高分は目に見えないものなので評価しにくいですが、どうでしょう?

  10. torao より:

    to なぽーさま
    などとJリーグのことを触れてみたものの、私は普段から見ているわけじゃないのでこれ以上のことはなにも言えません(笑)。
    でもJリーグ地域にチームがたくさんあるから、地元の人たちはしっかりサポートしている強さがあるように思います。「Jリーグファン」という曖昧な存在はすくなくて、特定チームのサポが多いんじゃないかと。だからテレビ見るくらいなら地元のサッカー場に行っちゃうんじゃないですかねぇ(とてきとーなことを…)。
    to grayghostさま
    球団の広報部のブログはぜひともあってほしいですね。球場に来てもらうために、どんな取り組みをしているだの、こんな企画があるだのと、逐一報告してくれれば、それに対する意見などもどんどん吸い上げられることでしょうし。良かれと思った企画がぶったおれるようなことが多いんですから…ねぇ。
    to イエローさま
    なぜ生徒さんに年俸交渉を持ちかけられているのか、謎は深まるばかりですが(笑)。
    そんな大したもんじゃありませんて。もともと放っておいても「やめられない」人たちばっかりでしょう(笑)、きっと。

  11. 森 無礼 より:

    風邪でダウン!空腹で起き出してブログを除いたのが運の尽き!
    おしゃべり無礼にとっては猫に鰹節状態!
    玉木氏の文化(カルチャー)についての件り、成る程と読んだ!
    「耕すもの」「サポーター」は同じ意味合いの言葉とも思われる。
    席亭の言う、如何にサポートするのかと投げかけることの対岸には
    球団がサポーターの繁茂、収穫の為、如何に耕すのかを考える問題が対面する。
    鶏と卵の比喩ではないけれど、一体にならなければ明日は無い!
    仲介料を含むといえども、85は安い!込みで150ならどうだ!

  12. torao より:

    to 桜林の猛虎打線さま
    桜林の猛虎打線さん、抜かしてしまって大変申し訳ございませんでした。何やってるんだろ…。しかも気を落としてるところ…ねぇ、本当に。
    でも考えようというか、「オイシイ」存在になったとも言えますよね。私みたいな部外者からしてみたら、セレッソ応援したくなっちゃう。なんかスペシャルなチームになるってのも良いじゃないですか!
    重ねてお詫び m(__)m
    to 森 無礼さま
    あらら、こんなことしてないで寝てて下さいよ(笑)。関東もめっきり冷え込んでいます。
    こっちで耕したり、水やったりするにしても、元の畑はできるだけ良いものを用意して欲しいものです。種や苗も球団で用意して貰うわけですしね。そういえば跡取りがいないという農業とダブる部分もありますね。野球の耕し手も…。
    >仲介料を含むといえども、85は安い!込みで150ならどうだ!
    なぜ競り上がってるのか、よくわからない(笑)。いいから、おやすみなさい!(笑)。

  13. 移民の歌 より:

    昔から『阪神はファンが居酒屋でチケットの営業してくれるんだから…営業マンなんか要らない』と
    言われたくらいで…。12球団の中でも1、2を争うサポーター気質かもしれません。
    西武・平尾が年俸交渉の席で自分の年俸の話はそっちのけで『人気もないし、地元も盛り上がって
    いない。このままだと危ないからフロントも一緒になってファンサービスを考えてくれ』と直談判
    したそうです。こういう危機感を持っている選手もいます(前・阪神ってのがミソか)。
    ファン(サポーター)側の意識変革も必要でしょうし、経営サイドの考え方も変えてほしいですよね。
    野球教室の定期開催みたいな地道な活動でもいいと思います。プロがアマチュアに指導するのって
    アマ側からみれば非常に嬉しいものなんです。そうやって固定ファンを増やしていくことが地元での
    競技そのものの繁栄に繋がると思います。プロがアマに技術を還元していくのは大切なこと。
    そういう場を多く設けてほしい。オフに片手手間でやるようなのでは機会が少なすぎます。

  14. torao より:

    to 移民の歌さま
    どうしてタイガースファンがこういう気質になったのかは謎ですね。やはり劇的な負け方、信じられない弱さなどが、判官贔屓を読んだのでしょうかねぇ…。その点、西武は王国の崩壊で基盤を失ったしまったようで…。その危険性はGにも大いにあるし、長い目で見ればTにもあることかも知れませんね。