身の丈(2)

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秋からみっちり守備練習を積んでいる今岡が良いらしい(証言者:前田忠節)


去年の今岡の守備のヒドさったらなかったからね。どれだけ足腰が強くなっているか。それがあれば打撃は大丈夫という今岡の主張はその通りだと思う。
プレーオフ導入に伴い、プレーオフまでに消化できない試合は打ち切りにしてまえ!という議論があるそうだ。見る人、興業主の立場からすれば無意味な試合なので、そういう主張は良くわかるが、私は打ち切りには反対。だって自分がプレーヤーだったら、記録の意味がなくなっちゃってイヤだもん。そりゃ球場の違いやその他、いろいろ不公平、不平等なことはあるけれど、せめて基礎数字である試合数は同じの方が良い。野球はいろんなデータや記録があってより面白いものだと思うから。
それよりも、とにかく消化させることを考えて欲しい。MLBなにするものぞという気概があるなら、リーグ、選手会一緒になって、ダブルヘッダーでも月曜休みを使ってでも期間内に試合を消化させるってことを優先させて欲しいと思う。
さて「身の丈」。身の丈に合った経営をせよという議論をする時に必ず出てくるのがJリーグの経営だ。客観的評価をするほど、私にはJリーグに関する知識がないが、日本全国隅々にいつかはJリーグにという目標を持ったクラブチームが作られ、トップから末端までがピラミッド型の組織として機能しているサッカー界を羨ましく思うことがある。そのJリーグで徹底されていることが、「身の丈にあった経営」だと言われる。つまり赤字経営を許さない、できれば特定の企業の庇護下から独立した存在であれということだ。
実に聞こえの良いシステムだが、それはとてもシビアなこと。選手個人の成績が良かったからといって給料を上げるわけにはいかない。チームとしての収入、予算の中で出せる金額が決まる。
で、優秀な選手はチームとしての収入が大きなチームへ、末は海外クラブへとどんどん出世していく。サポーターは、我が町が生んだプレーヤーがビッグクラブで出世するのを暖かく見守りながら、我が町のクラブを応援し続ける。なかなか強くも大きくもならないが、それでも我が町にクラブがあるのはありがたいし、なんとか今のリーグでの位置を少しでも上げて欲しい。入れ替え制があるから、ビッグになることは無理でも、下がりたくないという意地がサポーターのモチベーションになる。
で、プロ野球の場合の事業予算は、ほんの一部の球団を除き、親会社からの「赤字補填」を見込んだ上で成り立っている。正しくは、「宣伝広告費」名目で球団に支払っている。そこらあたりの構造については玉木正之氏の書いたものなんかにも詳しいので省略。要は、プロ野球はその起源からして身の丈よりも「背伸び」するのが当たり前の経営をやってきて、Jリーグはそれを反面教師として、永続性を重視し「身の丈経営」を推進しているということ。
背伸びしたい理由は、球団間の収入格差だった。リーグ間、球団間に人気格差があって、収入格差がある。「赤字補填」は企業にとってもメリットがあったので、球界全体としての体制は維持できてきた。
ところが、娯楽の多様化によりプロ野球の持つ影響力が相対的に低下して、また企業経営の民主化が進むと、「赤字補填」が簡単ではなくなってくる。そこで生じたのが近鉄の撤退であり、事業規模を縮小させようという発想からの合併・再編だった。
ここまでが「第一次身の丈経営論議」。はー、長い(笑)。
そして、遅々として進まないながらも世の中の大勢が、これまでのような、客は入らなくても企業の「節税ツール」であれば良いという考えではなく、地域に密着した公共財であるべきという共通認識に立った。
だが、「背伸び」の原因である球団間の格差に対する対策は今もって何もない。そこへ持ってきて、さらに「MLBとの格差」という大波がまともに押し寄せてきて、「第二次身の丈経営論議」をせざるを得なくなったというのが現在だ。今は、おらが国のスターが出世するのを暖かく見守りながら、自国のプロリーグを守るしかないのだと思う。
MLB自体もそれほど足腰が強い訳ではなく、球団間格差の是正への取り組みはまだ始まったばかりで、十分でもない。米国内での野球人気は多少持ち直したとは言え、若年層の人気は下がる傾向にあると言う。そこで出てきたのが海外市場への進出だったわけで、日本はそのメインターゲットである。日本選手への巨額投資の背景にはそういう苦しい事情がある。
で、日本球界が今やることが、「身の丈経営」であることに変わりはないと思う。しっかりと球界全体として堅実な経営をして、「プロ野球経済力」を蓄積させることだと思う。特に必要なのは、アホな支出を減らすこと。有力な新人を獲得するための「ドラフト対策費用」どれだけ使ってるの?決して表には出てこないが、選手の周辺に金が飛び交って、囲い込むという「噂」が絶えないのなら、なぜそんなことは一切ありません、制度上それは無理ですと言えない?だからこそ、働くかどうかわからない外国人に数億払っても「安いもの」と思ってるんじゃないの?
そして収入を増やしたいと思うのなら、「競争状態のアップ」に手をつけなきゃダメだ。どこが勝つか分からない大混戦、どっちが勝つか分からない大接戦、ライバル同士の意地のぶつかり合い…スター選手が少しずつ欠けようとも、熱い戦いがあるところに人は集まる。戦力均衡こそが、球団間格差による温度差が最大の弱点であるMLBへの抵抗手段だと思う。
スター流出は、今はいったんは諦めるしかあるまい。でも、技術レベルの高さを維持し、NPBを活性化させれば、まだ勝負はわからない。「身の丈経営」とは、上を諦めて卑屈になることではなく、持てる資産を最大限活用して、自分の「燃焼温度」を高くすること。小さくても熱く燃えていれば、MLBを「けたぐり」や「諸手刈」で退けるチャンスくらいはいくらでもあるだろうし、その先には別の道も拓けると思う。

コメント

  1. いわほー より:

    プロ野球がJリーグに習ってほしいものの一つが、「入れ替え制度」です。J1の下位2チームは自動的に、J2にプルート(冥王星、転じて格下げの意で使われているらしい。一度、使ってみたかったんです私w)される。崖っぷちで下位に甘んじている球団は目の色が変わりますよ。私もこんな考え、4、5年前には思いもよらなかったなあ(遠目)。今のプロ野球の下地から改めないことには無理でしょうけど、将来、実現してもらいたい制度です。勿論、「身の丈経営」があっての話しですが。
    今、「身の丈経営」を最も体現しているのは広島カープでしょう。ケチケチ経営を揶揄されたりもしますが、今後も堂々とケチケチ経営をしてもらいたい。ケチはナニワでは美徳です。

  2. torao より:

    to いわほーさま
    へえ、プルート…知らなかった。
    リーグの階層構造ってのは、大前提をいくつもひっくり返す必要があるので、なかなか簡単じゃないですね。
    カープについては、「赤字補填」なしの中で頑張っていることは本当に素晴らしいの一言です。ただし、市民球団と言いながら、カープが松田家の家業のようになってしまっているという指摘もあるようです。NPB全体の問題なのですが、会計が公開できるようになって、本当の市民球団として、ちゃんと市民から資金調達できるようになれば完璧なんでしょうかね。「タル募金」などといううやむやな形ではなく。

  3. でんまん より:

    私の持論を一つ(て、ゆうても今思いついたw)
    選手全員一年契約、オール出来高制、各球団が金を出し合い、ペナンとレースの順位によって、選手、首脳陣、裏方に賞金分配
    眼の色変わると思いませんか? w

  4. あーちゃん より:

    「身の丈経営」に関して、Jリーグでは当り前のことでNPBにぜひ取り入れてもらいたいのが、「出来高契約」です。
    基本的に、Jリーガーは、試合に出てナンボというか、試合に出ないと子供のミルク代に困る(と冗談交じりにグチる)ような契約になってます。それもハンパでなく細かい。
    まず基本給。詳しくは「Jリーグ 新人 A契約」でググっていただくとWikiの解説ページに飛びますが、年俸を好きなだけ払える選手は1チーム25人まで、26人目以降は480万以下でなければならない規定です。
    そして出場給。ベンチ入りでいくら、5分出ていくら、45分でいくら、フル出場でいくら。もちろん、試合に出ない場合は1銭ももらえません。だから、試合終了間際のロスタイムになっても、選手は交代で出してもらおうと目の色変えてアピールするわけですよ。
    さらに成績給。FWなら1ゴールいくら、5ゴール以上でおまけがいくら、10ゴールでいくら。DFやGKなら失点率0.5単位でいくら。これにチームや個人のタイトル料なども契約で規定されます(ただし、ゴール料をもらったFWは、アシストをしてくれた人にお礼をしないと、あとで大変なことになるらしい(笑))。
    野球はサッカーに比べてはるかに個人成績の数字を出しやすい競技ですから、「出来高契約」を導入すれば、かなり無駄金を払わずにすむと思うのですが。
    あとは、「持ち株会」かな。地元の人やサポーター個人に、恒久的な株主になってもらい、小口でも安定的な出資を募る制度です。議決権や譲渡の制限をつけますが、代わりに入場券プレゼントや株主向けイベントなどを行うため、人気チームでは毎度抽選になります。
    タイガースがこれ導入したら、ものすごい資金が集まると思いますよ。

  5. DAI より:

    背伸びしたい理由は、球団間の収入格差だった。リーグ間、球団間に人気格差があって、収入格差がある。
    これ、同じようなこと考えてました。ノリブランドって、要は、晴れ着だったんだよなぁって。
    お金持ちんちの松井君に負けんように、ウチのノリちゃんにも、ええもん着せたんで、って。貧乏な家が無理して、でも、ノリが嬉しそうにするんが嬉しくて。僕らもノリが晴れ姿を着てるのをみて、パリーグもセリーグには負けてへんで!!って、胸を張れて・・・。
    多分、今日、こういうこと書きます。

  6. 西田辺 より:

    消化試合打ち切り。
    ほらね!コレが本音ですわ。
    リーグ戦など所詮は予選に過ぎず、クライマックスシリーズ
    の盛り上がりが手に入りさえすれば、それで良いじゃん、ってなモンですわ。
    思った通りのリーグ戦軽視。
    プレーオフの「旨味」だけを頂こうという魂胆が見えてくる。
    リーグ1位が優勝ですよ、と言う奇麗事に全てを誤魔化そうとしてる。
    タイトル争いはどうするの?
    試合を打ち切られたがために、1本差で1勝差でタイトルを逸する。
    こんな事があった時に、打ち切りを主張する連中は選手を始めとする
    万人が納得する説明が出来るんだろうか?
    何故斯くも馬鹿な提案ばかり出来るんだろう。

  7. 蹴舞 より:

    MLBも消化試合の打ち切りはあるらしいですよ。(打ち切られた時点で個人の成績もそこで終了)
    で、身の丈経営の件ですけども、やはりサラリーキャップは必要のような気がします。ハードキャップ(NFL方式・選手全員の合計年棒を制限)とまではいかなくともソフトキャップ(NBA方式・1軍選手の合計年棒を制限)ぐらいなら適用してもいいと思います。これによって、ますますMLBとの差が出て流出は免れないと思うけど、国内での健全な経営を求めるほうが必要のような気がします。
    ちなみにNFLは、リーグ全体での繁栄を主としてるので赤字経営してる球団はほとんど無いそうです。(運営システム http://www.nfljapan.co.jp/about/system/index.html)

  8. 蹴舞 より:

    上記のハードキャップとソフトキャップの件ですけど勘違いしてました。勉強不足ですみません・・
    失礼しました。m(_ _)m

  9. コミィ より:

    みなさんが主張する『身の丈経営』は、リーグの存続を優先するためですよね?
    しかし、カープと巨人がいい勝負をしている以上、まだこのままでいいのではないかと思います。
    中日阪神巨人で毎年Aクラス確定となるぐらいに戦力差ができてからの方でいいと思います。
    お金に都合がつかないチームはだんだんそうしていって、それで差がはっきりしていくようになってから
    そのときに、2部制にして下部のリーグは給料制限つけてもいいですし。
    ある程度崩壊するより前の『平等論先行』は危険だと思います。
    それは、国家によって証明されていると思うのです。
    それともうひとつ。地域密着と地域限定は違うと思うんです。
    野球チームのない県はたくさんあります。
    北海道と福岡が特殊なんです。
    阪神なんかかなり特殊。
    宮崎なんかはやっぱり地上波の情報しか入ってきません。
    そういう人を拾うものがないと、国民的スポーツではないですよね。
    市民団体だけのものみたいな感じにはなってほしくないです。

  10. torao より:

    to でんまんさま
    思いつき大歓迎(笑)。おおざっぱに言ったらそういうことなんでしょうね。結局、球界全体で生み出す利益を中にひる人たちで分け合うんですからね。まあ、分け方はそう簡単にできないでしょうが、まずはその利益を損ねるような要因はとっぱらって欲しいと思います。
    to あーちゃんさま
    ふむふむ出来高契約ね、合理的です。各レベル隙間無くチームが存在しているからできることでもありますね。もう一回プロ野球を一から作り直せるならねぇ、Jリーグを参考にもっと良いの作っちゃうんだけど(笑)。
    「持ち株会」をプロ野球でやらない理由は、たぶん「めんどくさいから」だと思います。情けないけど、そんなもんでしょう。
    to DAIさま
    読みました。DAIさんも引用されていたニッカンのノリの言葉で、DAIさんのおっしゃる意味があらかた理解できたように思いました。
    http://osaka.nikkansports.com/baseball/professional/buffaloes/p-ob-tp0-20070112-141361.html
    オリックスという球団のやり方を私は全否定はしないのですが、切れすぎるというかなんというか。その切れ方を業界内の不健全要素除去に使って欲しいんだけどなぁ…。
    to 西田辺さま
    うーん、消化試合打ち切りというのは、十分正当性のある主張だとは思うんです。私らみたいなマニアはともかく、基本的に消化試合ってのは面白くないものですから。プレーオフの導入で、消化試合は確実に少なくなるでしょうし。
    ただドームとそうでないところがあって、それぞれが個性なんでしょうけれど、こと日程に関しては確実にドームの方がきっちり消化できるわけで、構造的に不公平なのはいただけません。屋根なし球団には不利になりますが、期限内に消化させることを優先する、そうでなきゃもうすこし開幕を早めるなどして、日程を考えて欲しいと思います。
    to 蹴舞さま
    ハードキャップとソフトキャップを調べたら、
    http://www.sports-q.org/qanda.html
    というページにわかりやすい説明がありました。よく見たらこのサイト、弁護士さんたちがやっている「スポーツ問題研究所」というところ。すごく興味があります。NPB2として接触してみよっと。
    さて、日本プロ野球へのサラリーキャップですが、現時点では弊害の方が多いように思います。ぜいたく税は必要だと思います。
    ただね、未だNPB内部では戦力均衡の重要性は低く見られているようですので、放っておけば当面何も変わって行かないでしょう。まだ「Gさえ強くなれば…」的な声が読売内部から聞こえてくるうちはなんともなりまへんな。
    to コミィさま
    >しかし、カープと巨人がいい勝負をしている以上、まだこのままでいいのではないかと思います。
    なるほど。一見、一理ありそうですが、ただこれは、常に1番金を使い続けているジャイアンツが上位に入っていないことが異常なだけだと思います。以前、「かつかつblog」さんにあった、日米の年俸総額一覧を見れば、基本的には年俸の高いチームが上位に入っているという傾向は見てとれます。
    http://masaka2.jugem.jp/?eid=250
    国家を例に取れば「社会主義」が崩壊しましたが、アメリカ型クローズド・プロスポーツを例に取れば「社会主義」が圧勝しています。MLBでもぜいたく税や、独自収入の分配を行って戦力均衡に力を入れたことで、ストライキ後の崩壊危機から浮上したというのが定説です。
    と、いくら私が主張していても、NPBを読売が握っている限りは、崩壊寸前まで、いや崩壊しても何も変わらないかも…というのが私の見方です。でもそれを黙って見ているワケには行きませんので、引き続き騒いで行きますし、NPB2で出来うる行動を取っていくつもりです。
    地域密着について。今売りの週べにもありましたが、本来もう少し球団数を増やせる(ここらへんもドラフトまわりなどのムダな支出をなくすことと連動しますが)という意見も強いようですね。南九州にも1球団あって良いでしょう。関東のタイガースファンである私が言うのも説得力がありませんが、本来は全国の人が、自分の地元チームを応援できるのが理想の姿でしょう。成功しているリーグはすべてそれができていますから。

  11. コミィ より:

    レスポンスありがとうございます。
    色々な動きがあるのですね。ただテレビで野球を見るだけでは知らないことがたくさんあるのですね。
    勉強になりました。
    ただひとつ。
    気になるのが、アメリカのリーグは世界最高峰という事実なり自負があるからこそ、この考えが成り立つのではないかという気がするのです。
    現実問題、NPBで年俸上限制度を導入した場合。
    たとえば年俸6億なりの市場価値の選手ができてきた場合は、アメリカに流すことになるのでしょうか。
    Jリーグでは欧州にくらべ劣ってるとう自覚があるから良いでしょうが、日本の野球ファンにそれをどれだけ受け入れられるかは少々疑問です。
    もうひとつ。
    一流選手は海外に流れ、中堅どころはその空いた穴を巡って各チームを行ったりきたりして、出場機会と模索するという状況になります。
    それはまさにJリーグを同じ形になりますが、それは野球に大事だと訴えている生え抜き思想とは遥かに違うものになりそうです。
    どの道、大きな価値観の変換が生まれます。
    極論を言えば、年俸上限を定めて、一流選手の減俸か海外流出を進めて、新規参入(地域チーム)を12チームぐらい入れてイースタンとウエスタンで12チームぐらいにするのが理想形なのでしょうか。
    う??ん。
    確かにちょっと興奮します。
    しかし、そのときは、ただ野球だけをテレビで見ていたという普通のファンをずいぶん切り捨てていくことになりそうです。
    実際、テレビを見ているだけのファンは、チームにとってはなんの利益も生まないだけですからいらないといえばいらないですが、なんだかそれはそれで少し寂しい気がするんですよ。
    ということで、そういう改革はまだ時期尚早じゃないかと思うわけで、、
    今年の広島と横浜のがんばりを期待したいです(笑)

  12. torao より:

    to コミィさま
    Jリーグを中途半端に持ち出してしまったのがいけなかったのですが、基本的にJリーグはプロスポーツの一つの理想(欧州クラブ型&地域密着型&オープン入れ替え型&自由競争型)を目指す形。もう一つの理想はNFL型(アメリカ型&地域貢献型&クローズド入れ替えなし型&社会主義型)です。私は日本プロ野球は後者をベースにしていくしかないと思っています。一からやりなおして良いのなら前者が良いんですけどね(笑)。
    その上で、「年俸上限制度」ではなくメジャーと同じ「ぜいたく税」導入が良いと言っています。いくら高い給料を払ってもOKなんです。その分余分な「税金」を各球団に分配する必要がありますが、金のあるチームはメジャーに負けないようにどんどんやって、どんどん稼いで、みんなに配れという仕組みです。
    メジャーのお金は確かにスゴイ。ただそれは日本が商売下手なだけというのもあります。04年のワールドシリーズの視聴者は、全米でたったの2千万人しかいなかった(なんと同じ年日本では1600万人が松井秀喜が出ていたア・リーグチャンピオンシップを平日昼に見ていたそうです)、それでも日本のプロ野球よりはるかに金を稼ぎ出しています。そして、それに莫大な貢献をしているのが日本です。電通がMLBに払った放映権料は6年330億円だそうです。
    MLBのアメリカ国内での人気は引き続き楽観できる状況にないようです。若年層特に西海岸では、MLS(完全社会主義型で運営されて急伸しているサッカーリーグ)に大きく遅れをとっているという話もあります。だから私はやりようによっちゃMLBとの対抗手段はあると思っています。
    >しかし、そのときは、ただ野球だけをテレビで見ていたという普通のファンをずいぶん切り捨てて…
    これはあまりおっしゃりたいことが良くわかりません。テレビ中継は減ったとしても日テレ、テレ朝は少なくともあと数年は守り抜くでしょうし、そうすると裏チャンネルつきのデジタル放送が始まって、すぐにコンテンツ不足になるでしょう。またそのころにはネットインフラも整備されて、ネット中継ももっと一般的になるでしょうから、あまり地上波にこだわらなくても良さそうに思います。
    どれだけ接戦を作れるか、あとは、どれだけプロ野球が社会貢献をして、必要な公共財だと思ってもらえるかの方が重要だと思います。

  13. コミィ より:

    貴重な時間を割いていただいてありがとうございます。
    記事の更新を楽しみにしています。
    『野球は必要な公共財』っていい言葉ですね。

  14. torao より:

    to コミィさま
    >貴重な時間を割いていただいてありがとうございます。
    とんでもございません。
    >『野球は必要な公共財』っていい言葉ですね。
    各オーナー企業にはぜひそういう意識を持って運営してもらいたいと思います。

  15. より:

    ちょっと、遅レス気味ですが、サッカーサポからの意見です。
    システム整備が整う前に「身の丈経営」なんて乗り出しても、かえって不具合も出てくるのでは。
    今年の広島や横浜を見ていればわかるように、お金のないチームは高年俸になった選手をどんどん売り払います。
    ポスティングシステムなんてのがいい例で、日本で育てて海外に売って、そのお金でチームを維持する。
    お金のないチームはどんどん戦力を売るので、必然的に戦力差が出来てしまう。これは本末転倒ではないかと。
    下部リーグに落ちることのない状態での「身の丈経営」というのは、広告料の赤字補填の範囲であれば「弱いチームは弱いままでもかまわない」ということでもあります。広島とか強くなる気があるとは思えないし。
    実際、身の丈経営が進んだため、現状のプロ野球はかなり戦力差が出ていますしね。
    「身の丈経営」と「戦力均衡」は、あまり相性がよくないと思っています。
    そう言えば、昔プロ野球選手会の出した改革案では、MLBに対抗しうるアジアリーグ構想でしたっけ。
    「身の丈経営」なんてされると、自分たちの給料が下がるから言ってるんでしょうけど。
    http://jpbpa.net/news/2005_kaikaku.pdf
    コメント欄にも出ていました持ち株制度も完璧な制度というわけではなく、清水エスパルスが経営難から一度会社を潰してしまったことあります。
    その後新しい会社を設立してエスパルスは持ち直したのですが、このことで純粋なファンの人達が支えるために購入してくれた株式が、ただの紙切れになってしまったりしました。
    持ち株制度は、純粋に応援してくれた人に被害を与えてしまう諸刃の剣でもあります。
    そういう時に、大企業のバックアップがあると助かる面が多々あります。
    企業から独立した存在であることは理想ですが、イザというときは市民クラブでは支えきれません。
    ヴィッセル神戸の三木谷(楽天)さんも、ぽんと三五億くらいポケットマネーで赤字補填してくれたりしますし。
    プロ野球ではケチケチと言われてるのが、凄いギャップがありますね。
    プロ野球では悪いところしか言われていない赤字補填ですが、経営に苦しいところには絶対必要な制度だと思います。
    この辺りはプロ野球とJリーグの経済感覚の差だと思います。
    金銭的に恵まれているプロ野球には、そのことがイマイチピンと来ないのかもしれませんが、このままプロ野球の経済規模が縮小したときも「赤字補填」が必ずしも悪だと言えるかは疑問があります。
    本筋とは関係ない話になりますが、戦力均衡の話も出ていたので、ちょっとだけ付け加えておきます。
    プロ野球では戦力均衡と盛んに言われていますが、Jリーグではその逆でもう少し戦力集中して3?4チームくらいのビッグクラブが欲しいという意見が多いです。
    Jリーグはリーグ優勝、天皇杯優勝チームには、ACL(アジアチャンピオンリーグ)というアジア大会に出場できます。さらにそこで優勝すると、今度はクラブワールドカップという世界大会に出場できるというシステムになっています。
    クラブワールドカップはまだまだ歴史の浅い大会のためヨーロッパのモチベーションは低めですが、アジアやアフリカ、北中南米では、ここに出場することが至上命題なりつつあるようです。
    ま、ワールドカップのクラブ版と思ってくれればいいです。(あんなに権威ないけど)
    自分の街のチームが世界一になる――というのは、サッカーサポにとっての夢ですが。
    さて、昔は割と勝ててたアジアチャンピオンリーグですが、ここ数年はとんと日本勢が勝てなくなってしまいまいた。
    優勝チームはJリーグを代表して世界と闘う責任を負うせいか、リーグ全体を引っ張る盟主的な存在を欲しているところがあります。
    世界で勝てるようになれば、クラブの世界的認知度も高まり、Jリーグに対する注目度も上がり、そのことによってリーグが繁栄するという思惑があるからです。
    チーム数の増加に関してもプロ野球側では「うらやましい」のかもしれませんが、サッカーサポの間では、一チームあたりの戦力が落ちたという指摘もされていたりします。
    (プロ野球も30チームくらいになって、アジアシリーズで負け続ければ同じ気持ちになるかもしれません。日本野球が弱くなったと言われたときに、まだプロ野球ファンは戦力均衡・拡大路線を語るのか興味があるところですね)
    この辺り野球と比べてみると、色々と面白いですね。
    長々と書いてしまいましたが、サッカーサポからの意見でした。

  16. torao より:

    to 牧さま
    貴重なご意見ありがとうございます。
    いや「赤字補填が悪」というより、いつまでもあてに出来ないでしょうという話です。
    まとまりのないエントリーになってしまいましたが、言いたかったことをもう一度まとめるとこんな感じです。
    ・赤字補填に頼る経営は良くない。いつまでも補填してもらえるとは限らないのだから。
    ・帳簿が公開されていないので不明だが、ヘンな支出(ドラフト対策費)をなくせば、ずいぶんと楽になるんじゃないの?
    ・収入を増やすためには、接戦、混戦により各球場の入りを増やすことが必要。満員の球場は増やせないんだから、ガラガラの球場の客を増やさないと。だから弱いチームを強くしないと。
    ・今のプロ野球は利益が不当に集中する仕組み。メジャーや他の競技のリーグにならって、利益の分配を行うべき。
    ・ポスティングってやっぱり「悪」なのかなぁ…。金持ち球団、貧乏球団問わず、どうせ次の年にはFAでメジャーに行っちゃうんだから、その前に売っちゃうというのはアリのような気もするのですが。行きたくない人まで売るわけじゃないので。
    ・メジャーも偉そうにしてますが、ほんのちょっと前までは日本プロ野球より収益率が悪かった。でも利益分配と地域貢献をやり始めたらぐんぐん良くなった。日本プロ野球もこれだけやる気がなくてもまだどうやら余裕がある(G戦放映権がこれだけ減ったのに、カープは黒田の高給を支払っても平気そうな顔をしています。本当はしこたま貯め込んでたんちゃうん?昔のタイガースみたいにw)。ビジネスとしてまだいろいろやりようがありそう。
    ・サッカーは入れ替え&各国リーグ格差によって戦力均衡が保たれる仕組み。野球は下への陥落がないから、下を強くする戦力均衡政策が必要。
    ・プロ野球が2部制や3部制をとることは現実的でない(社会人やクラブチームを巻き込んだファームシステムは大いに改良の余地有り)。拡大といっても16?20が限度。
    まあ、またそのうち似たようなエントリーを書くと思いますし、「NPB2」ではこんな話ばっかりやってますので、ぜひお越し下さい!
    http://www.npb2.com/j/

  17. より:

     すみません。勢いに任せて、結構書き殴っちゃったみたいで。
     あぁ、つまり、「親会社の赤字補填とかに頼りすぎの体質は、親会社に影響されやすいから、ちゃんとファンを見て地域密着して、経営健全化して足下固めたほうがいいんじゃないのか」ということですね。
     すみません。ちゃんと読めてなかったみたいです。
     あんまり長くなってもアレなんで、ポスティングにだけ返信しときますと、チームの目的が「リーグ優勝」という方向に向いているうちは、全然問題ないと思います。
     しかし、分配金と選手の移籍金でチームが運営できてしまうと、経営者側の強くしたいというモチベーションが下がりますからね。
     広島とかこの典型で、経営はかなり健全だろうけど、チームは弱い。
     自由競争リーグではこれもありでしょうが、戦力均衡リーグでは不健全でしょうね。
     MLBも分配金だけで生きているところがあるみたいですから、チケット収入以外の収益というのは、不健全につながりやすいのは確かですね。
    タイガース版で書きすぎても、場違いになりそうなので、このくらいにしときます。
    NPB2のページも気が向いたら見てみますので、そのときはよろしくお願いします。

  18. torao より:

    to 牧さま
    >すみません。勢いに任せて、結構書き殴っちゃったみたいで。
    まったくノープロブレムです。
    >しかし、分配金と選手の移籍金でチームが運営できてしまうと、経営者側の強くしたいというモチベーションが下がりますからね。
    > 広島とかこの典型で、経営はかなり健全だろうけど、チームは弱い。
    これについては私は別の見方をしています。つい十数年前まで広島カープは黄金期を誇っていたわけです。それが崩壊した理由は、ドラフトとFAによって、システムとしての戦力均衡を崩されてしまい、構造的に金持ち有利な仕組みができて、ドラフト苦戦、FA流出が頻発したからではないかと。どうやったって強くなれない仕組みでは、経営が「強くなろうとするモチベーション」を維持できるわけがなく、小銭稼ぎに向かっているのだと思います。そうなると、ファンも卑屈になってしまって、経営の不甲斐なさを糾弾する声も弱くなってしまいます。
    せめて、システムとしては「逆転の可能性あり」にしておく必要があるのではないでしょうか。
    >NPB2のページも気が向いたら見てみますので、…
    新規参入大歓迎でお待ちしております。