嶋清一投手 野球殿堂入り

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今年の野球殿堂入りが発表され、競技者表彰として山本浩二と堀内恒夫、特別表彰として故嶋清一がその栄誉を浴することになった。


この際、殿堂のなんたるかについてはウィキペディアあたりでさらっとおさらいしておくとして、ここ数年覚える感想を今年も持つ。「現役時代を良く知る選手たちが殿堂入りするようになったなぁ、トシとったなぁ」(笑)。
山本浩二は今で言うアスリート系の外野手。もちろんパワーと確実性を兼ね備えた打撃も凄かったが、守備も走塁も素晴らしかった。弱いカープを強くした一人であり、まさに殿堂入りに相応しい選手だったと思う。
堀内恒夫については、本当に凄かったという出始めの数年を知らないが、それでもV9末期もエースとしてそれなりの存在感があった。晩年、名球会入りに四苦八苦していたり、リリーフにまわって辛い思いをしながらも「堀内の堀内たる所以」を見せつけるような、内に直球、外にカーブという緩急のある投球に矜持を見た。
でも今回の殿堂入り発表で一番の感動は、嶋清一という伝説の投手を初めて知ったということ。不勉強なのは自覚していたが、野球好きとして恥ずかしい限り。
和歌山・海草中(現向陽高)のエースとして、1939年(昭和14年)今でいう夏の甲子園で、全5試合を完封勝利。しかも準決勝・決勝ともにノーヒットノーラン!
その後、明治大学に進学するが、戦火が激しくなり学徒出陣。同じような話を多く聞くが、出陣前には結婚もしている。1943年12月に海軍に召集される。1945年3月29日、ベトナム沖で魚雷を受け24才の若さで戦死。終戦まであと5ヶ月だったという。
ここまでのまとめで参考にした、スポニチの記事は、単に嶋清一という人物の紹介にとどまらない、優れた記事だと思う。
一人の人間が死して63年が経とうとして、なお残された者の中にこれほど大きな感慨をもたらすのか。人の成し得ることの大きさ、そして同じく人が成した戦争の愚かしさ、それに対する怒り。野球殿堂を通して知ることができたことに感謝したい。
ぜひご一読を。
 → 平和の象徴・嶋清一投手が殿堂入り(スポニチ)

コメント

  1. おりがみ より:

    中等学校大会で対戦した西本幸雄さんがコメントされてましたです。
    そんなに遠い昔のことではないんだなぁ・・・。
    「出口のない海」を思い出しました。
    「彼の球は見えなかった、でも戦争で・・」なんて会話は、未来に絶対あってはならないことなんですよね。

  2. purinryu より:

    私の父(故人)の会社員時代の部下Kさん(故人)は、海草中学で控え捕手として嶋投手の球を受けていた人でした。嶋投手の球は、他の投手とは桁違いだったそうです。
    和歌山で生まれ育った私の中では、嶋清一投手は、沢村栄治投手(私の姑の実家と同じ墓地にお墓があります。墓石が野球ボール型です)とほぼ同格だったのですが、やはり全国的な知名度には相当の差がありますよね。
    こういったニュースで、「野球ができる」ことが「幸せ」だということに気づく若者が、1人でも増えてくれたらな、と思います。

  3. 一虎ファン より:

    記事を読んで、目頭が熱くなりました。
    平和の素晴らしさ、戦争の愚かしさは誰もがわかっているのに、世界から戦火がすべて消える日はいまだ来ていません。
    世界平和の実現に、スポーツが大きく貢献できることを信じています。

  4. とらぽるた より:

    今日はネットの威力をまざまざと体験しました。
    いや、これは私より年配の高校野球ファンならばすでに常識なのだろう。
    先日は新宮高校前岡投手に懐かしさを覚えたが、彼の噂話の行き着くところ「伝説の名投手、海草中の嶋清一」が必ず登場する。
    前岡投手と嶋投手、あまりにも共通点が多いのだ。
    剛速球左腕、決め球は懸河のドロップ、和歌山出身・・・。
    おまけに、前岡がプロ入り後伸び悩んだ原因が「嶋清一ばりの回転重視の特殊な投球フォーム」を歴代のコーチに何度も矯正されたことにもあるようだ。
    どんなフォームなんだろうか。野茂投手???想像つかないなあ・・・。
    で、嶋清一投手の殿堂入りを伝えるスポニチの記事に、当時の球友でセンターを守っていた古角俊郎氏が登場する。
    どこかで聞いたようなと思い前岡投手で検索すると、
    「野球王国・和歌山の中興の祖、新宮高校をわずか二年で全国レベルに」とあるではないか!
    いや?、世代を超えた甲子園のスーパーヒーローとアマチュア野球に情熱を注いだ指導者に乾杯!!

  5. 西田辺 より:

    過去の高校野球史を見てたりすると、必ずと言っていいほど
    嶋清一氏の名前はお見受け致します。
    自らに意思とは関係なく、野球をそして、命すらも
    断たれるその無念たるや・・・。
    確かに現役時代をリアルに知っている選手の殿堂入りが
    近年増えましたね。
    一昨年などは門田博光氏・高木守道氏・山田久志氏
    と、少年の頃シビレた方ばかり。
    ホント、年取りました(笑)

  6. torao より:

    to おりがみさま
    それでも世界のいたるところで、現在もおなじような悲劇が繰り返されているんですよね…。
    to purinryuさま
    とても身近に感じられる方だったんですね。
    夏の甲子園でも記念セレモニーが計画されるかも、とのことです。ぜひ実現させて欲しいです。
    to 一虎ファンさま
    ハンドボールの話などを見ていると、まったくもって暗澹たる気持ちになりますが、私もスポーツの力を信じている一人です。
    to とらぼるたさま
    先日の話題と密接につながっていたんですね。面白いですね。こういうことをたちどころに調べられるのですからネットはすごいです。昔なら何日も図書館に行って、それでも調べきれなかったかも知れません。
    to 西田辺さま
    私は高校野球史にはまったく詳しくないので、今回初めて知って感動を覚えました。

  7. tama より:

    『嶋清一;戦火に散った伝説の左腕』(山本暢俊著、彩流社、2007)、『嶋清一;松坂大輔をしのぐ伝説左腕の軌跡』(富永俊治著、アルマット、2007)と、昨年立て続けに嶋投手についての書籍が刊行されていたので気にはなっていたのですが、今年殿堂入りなんですね。すばらしい。
    たしか、アニメ版の『巨人の星」で、三沢高校の太田投手のエピソードのときに、海草中の嶋投手が戦時中に星一徹と同じ部隊にいたとして登場していたように記憶してます。

  8. torao より:

    to tamaさま
    殿堂入り委員会へのアピールなどもけっこう大変なんですね。ロビー活動というか。
    そんなエピソードありましたかね。さすがtamaさん。私はなんだか覚えてないけれど、蝶々をつかまえようと壕から離れた兵士(野球選手)が銃撃されたという小話だけ覚えています。