金村曉の「入り」

スポンサーリンク

3タテ完成。


ドラゴンズ投手陣の意地の投球、素晴らしい意地のファインプレーの前に、勝負は終盤までもつれてしまったが、それでも十分勝つための試合運びをして、その通り勝った良い試合だったと思う。
リリーフ陣の連投については心配もあるが、この甲子園のドラゴンズ戦については、とにかく全力で行くという意思統一が見えたので良いんじゃないかな。
型どおりに先取点を奪い、あとは各打者が打席内でしっかりプレッシャーをかけていたと思う。最終的な決勝点はラッキーな打球も続いたが、林にしても鳥谷にしても矢野にしても、しっかりと狙い球を絞って、強烈にフルスイングできた結果。どれも立派なヒットだった。
そして、断続的に強い雨が降る悪コンディションの中で、疲れを感じさせながらも踏ん張ったリリーフ陣には本当に頭が下がる。
でもとにかくこの試合は金村曉の試合。素晴らしかった。
左太もも痛、その後の不振のため、この日がタイガース初登板となった金村曉。6回被安打3。その内の2安打が3回二死に集まり、盗塁&エラーも絡んで1失点。自責点は0。ちょっと安易に投げてしまって荒木に盗塁を許した場面だけは一瞬のエアポケットのようであったが、それ以外は細心の注意を払ったほぼ完璧な投球内容だった。
88球、早めの降板だったが、極度の緊張感があったようだし、次回に大きな自信が繋がるような交代の仕方は良かったと思う。
やっぱり安定感のある投球というのは、初球の入りがポイントなんだな、つくづく思った。実績ある投手が、何の迷いもなくその1球で優位な立場に持って行く。
以下、参考までに金村22人の打者に対する「全初球」。

1回表
荒木 スライダー 131km/h 外角低目 フライ
小池 ストレート 142km/h 外角中央 見逃し
ノリ ストレート 144km/h 外角中央 見逃し
2回表
ウッズ ストレート - 外角高目 見逃し
和田  カットボール 130km/h 外角中央 ヒットライナー
李 シュート 133km/h 外角低目 空振り
デラロサ ストレート - 内角中央 見逃し
3回表
谷繁 ストレート 142km/h 真中高目 ボール
朝倉 ストレート 142km/h 外角低目 見逃し
荒木 特殊球 109km/h 内角高目 ボール
小池 ストレート 140km/h 外角低目 ボール
ノリ ストレート 141km/h 外角中央 ボール
4回表
ウッズ フォーク 128km/h 内角低目 ボール
和田 フォーク 129km/h 内角低目 ゴロ
李 ストレート 138km/h 外角中央 見逃し
5回表
デラロサ フォーク 127km/h 真中低目 空振り
谷繁 ストレート 140km/h 外角中央 ファール
朝倉 ストレート 135km/h 内角低目 ボール
荒木 フォーク 127km/h 真中低目 ボール
6回表
小池 フォーク 127km/h 真中低目 ボール
ノリ ストレート 139km/h 外角低目 ボール
ウッズ フォーク 128km/h 内角低目 ボール
(参考サイト:yahoo 一球速報)

【結果】
見逃しストライク 6/22 (27.3%)
見送りボール 10/22 (45.5%)
スイング 6/22 (27.3%)
【球種】
ストレート 12/22 (54.5%)
フォーク 6/22 (27.3%)
その他 4/22 (18.2%)
球種としてはストレートが半数以上。コースはほとんどが外。高さは「まあ低め」程度にしかこだわらないが、外についての意識は徹底している。もちろんストライクが欲しいところでは、いっぱいいっぱいを狙うのではなく、きっちりと「外角のストライク」に納める。打者としては、外角の直球を打とうと意識していなければ打たない球。次回登板時は、この外角の直球を狙って打てというチームオーダーになるだろうが、それを察知したらフォークや、インコースの直球から入るように変えれば良いだけ。いずれこの球が基本であり、特に打者が様子見をしてくる序盤で、きっちり外角直球見逃しストライクの初球を重ねたことが大きい。
初球ストレート見逃しストライクは、その1打席中ずーっと打者に「ひっかかり」を作る。またどこかでストレートが来る、意識の中にそれが残る。変化球に合わせて十分にためさせない。だから変化球が余計に効く。
中盤ではフォークから入るケースも増えた。これもまた素晴らしかった。高さはボールになるくらい低く、コースは真ん中ベースの上、そこを狙っている。もちろん空振りしてくれれば言うことなしだが、ボールでも構わない。この初球も、その打席中ずっと「ひっかかり」を作る。またどこかでフォークが来る。まっすぐとスライダーだけでなくフォークもある、打者は考えるのがイヤになっちゃう、それが初球フォークの効果だ。
警戒すべき時にはボールから入る、もちろん警戒するあまり狙ったところに行かなかったケースもあるが、初球で優位に立つ、その仕組みがわかっていて、ちゃんとそういう球種をそういう場所に投げられる。心と体のコンディションさえ万全なら、ローテできっちり仕事をする。やっぱり良い投手だと思った。

コメント

  1. uriko1999 より:

    金村曉にとっては待ちに待った開幕ですね♪
    私は同い年(1976年生まれ)で
    彼が仙台育英3年の甲子園の活躍から
    ずっと覚えています。
    試合終了直後のベンチ前で秀太と金村が
    なにやら話していましたが2人は同い年です。
    他に同い年は、赤星、新井、福原。
    チームを引っ張ってる年代ですねー、と
    勝手にニヤニヤしています。
    私自身も頑張らねば!

  2. ごんたくれ より:

    中日3連戦、予定以上の出来で3タテ。金村に勝ちが付かなかったのは残念だったけど内容的には勝ちに等しい。次回初勝利をあげてくれるだろう。
    3タテ出来た要因にあげられるのはなんといっても守備力の差かと。昨年・一昨年と中日は鉄壁の守備があった。内・外野どちらも隙が無かった。しかし現在の内野は井端が欠け(デラロサは結構守備がいい)紀は好守備をしてるが、アライバコンビの一角荒木が3連戦全てでエラー。ウッズの守備も緩慢。外野も李の守備など見てるとラミレスと変わらないレベル。
    阪神は今年内野は特に好守備を連発している。(ファインプレーというわけではなく)得点を取れないのなら失点を減らせばいいというのを実践している。
    今日から横浜戦。きっちりと守備からリズムを作っていきたいところ。

  3. やっぱりトラ! より:

    3タテはとても好ましいことである。
    しかし個人的には「のどに刺さった小骨」がどーしても残る3タテでもある。

  4. とらぽるた より:

    たしか金村暁は阪神と日ハムが甲府工の山村(現楽天)を一位入札した時のハズレ一位でしたね。
    以来彼の活躍を見るにつけ「うまくやったな?」とか「うちのスカウトは・・・」とか。
    浅ましや、浅ましや。
    昨夜の金村暁、思いのほかストレートが切れてました。
    何より、いつの間に六回終わったの?え?もう代わるの?まだ行けるのに・・・。
    これって新鮮ですね。ヘロヘロ状態だけど何とか五回までと固唾を呑んで見守る。
    こんなんばかりでしたから。
    プロ野球ニュースで若松さんが「金村は近年変化球に頼りすぎてたけど、いい頃に戻ってきたようだ。」と評してみえました。
    あまりはしゃぎすぎても気を引き締めつつも、この時期に実績充分のローテ投手が一枚加わるのは心強い限りです。

  5. 555 より:

    昨日コメ欄で、どなたかが、絶対に今日は負ける気が...とおっしゃっており、自分も阪神電車西宮駅を出たあたりから雨が強くなってきて、雨合羽を甲子園へ向かう売店並びで購入しながら、「俺が行くし、負けやろなあ...」とアルプス入場。激雨もありつつ...
    結果!!、いかせてもらいます!!!
    「ウォォォ???!!!」
    勝ったどー!!!!!(笑)

  6. 一虎ファン より:

    まさに、「優勝直通、阪神電車」です。
    やっとこさ、金村も乗り込んできてくれました。
    今岡も乗り遅れないように。

  7. ごんたくれ より:

    >555さん 昨日コメ欄で、どなたかが、絶対に今日は負ける気が...
    その方はブロスさん(中日ファン)ですよ。今チームの調子がいいとは言い難いですからね。うちも勝ってるからと胡坐をかいてる余裕はないですが。

  8. 虎こそ命 より:

    中日を3タテは嬉しいのですが、この先連敗でもしたら、とか○○さんが怪我でもしたら、とか心配症が出てきてしまいます。贅沢な悩みですが・・・。
    この3連戦を見て阪神野球はチームワークの勝利だと感じました。グランドとベンチ、両方の選手の心がひとつになっているから、スタメンであろうが、代打であろうが、それぞれの仕事を完璧にできるのですね。

  9. 洋上道三 より:

    >uriko1999 さん
    金村さんも田中世代ってやつですか?
    http://toranoiji2.jugem.jp/?eid=115

  10. uriko1999 より:

    > 洋上道三さん
    リンク先は和田コーチのブログですね♪
    私も毎日楽しみにしていて
    「田中世代」もそこで読みましたよ?

  11. 西田辺 より:

    流石、実績ある投手の投球でしたね。
    丁寧に丁寧にと言う感じでした。
    下柳とともに、熟練投手コンビ完成かな?
    先発陣がピリッとしない中、久しぶりに安定感のある投球を見せてもらいました。
    折り返しを迎えて、彼の参入は大きいですね。
    あと見逃せないのが、久保田と渡辺のフィルディング。
    ともにバント処理だったんですが、久保田のあの動き、捕ってから投げるまでの一連の動作が
    まるで捕手の動きだったので、思わずニヤリとしてしまった。
    やっぱり昔取った杵柄ってやつですかね。
    ナベも荒木のセフティを一度落としながらも素早いグラブトス。
    素手で捕りに行ってたら間に合わなかった。
    ナイス判断。
    思いもよらない中日戦3連勝。
    3試合で中日のチームエラーが7つと言うのは俄かには信じ難いですが、やっぱりこの戦いはミスした方が負けと言う法則を如実に表しましたかも知れませんね。