エースへの階段

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ボーグルソンを抹消して空いていた枠にアッチソンを登録。4人の先発で回る間は中継ぎ待機の報あり。


昼は上富田で行われた二軍戦をのんびりと眺める。せっかく遠いところまで行ったのだから、小雨の中でも試合や野球教室ができて良かった。
桜井がレフトへ、今岡がライトへ、それぞれ形の良い二塁打を打っていた。能見が8回ゼロと結果を出した。一軍レベルでどうかというと、微妙なところ。
素晴らしい投手戦だった。先に相手を褒めておくと、ファイターズは堅い野球をした。
F先発スウィーニーに対するタイガース打線の戦術はことごとく正しかった。打っても凡打にしかならない難しい球を捨て、追い込まれたら食らいついて粘り、甘い球を待つ。それを続けていれば、やがて球が打てるエリアに集まる。球数がかさんで球の力がなくなる。
ところがスウィーニーは、恐るべき精神力で精密機械のようなコントロールを維持した。
赤星は第1打席9球、第2打席15球、第3打席7球投げさせた。追い込まれてからの際どいコースは最後の1球(見逃し三振)を除き、すべてファールで逃げた。それでも四球は一つも取れなかった。本当に素晴らしい制球だった。
これだけ放らされたのは赤星の技術があったから。他の打者もしっかり見ていたが、甘く見えて巧みな変化に崩された。手も足も出ないとはこのことだった。7回3安打1失点。失投と言えたのは新井への1球だけだった。
対する岩田も本当に素晴らしかった。内外への直球には「打ってみろ」の気迫が込められていた。初球ふわっと浮かせてベース上で落下させるカーブで簡単にストライクを取った。追い込んでから、ベース近くで大きく曲がり落ちるスライダーで面白いように空振りを奪った。チェンジアップは少なめ。短い投球間隔でグイグイ攻め込み、打者にまったく的を絞らせなかった。野口のリードも見事だった。
また、両チームとも守備が堅かった。2回ウラ、鳥谷が食らった遊ゴロ併殺打は、一塁セーフになるだろうと思って見ていた。二遊間の動きはスムーズで、正確で、力強かった。一方、タイガースも2つの併殺プレーでピンチの芽を摘み取った。先発サードに入ったバルディリスが、初回当たり損ねのボテボテを猛ダッシュからスナップスロー、惚れ惚れするような好プレー。また3回には三塁線上、頭を越えそうな高いバウンドを下がりながら華麗にジャンピングキャッチ、遠投も軽々とピューン!岩田を助けた。
息詰まる投手戦、これは間違いなく貧打戦じゃなくて投手戦。0?0のまま7回表へ。2?1と追い込んだ4球目、F捕手鶴岡の狙いはインサイドへのボール球。しかもボール1つ分。打ってくれれば、ウラをかいて反応を遅らせ、詰まらせることができる。見逃されれば次への伏線。恐ろしいことにスウィーニーはそのボール1個の要求にずっと応え続けていた。しかしこの日唯一の失投がここで来る。ボール1個外すところが、ギリギリのストライクへ。これで失投なのだ。こんなの能見なら狙い通りだ。いやこの際能見は関係ない、すまんかった。そしてこれを新井がレフトスタンドに放り込む。これもすごい。新井の凄さは、「詰まっても飛ぶ」レンジが大きいこと。普通詰まらされれば外野フライで終わる。もちろん新井もそうなのだが、新井の場合は相当詰まってないと放り込んじゃう。
この試合、この打席はホームランを狙わなきゃいけない打席だった。今季、新井はできる限り金本に繋ぐという打撃に専念したがっているが、珍しく自分がHRを打つべき打席だった。そこで通算200号を決めた。ブルブルっと来るような一発だった。
試合が動いた7回ウラ。この揺れ、揺り返しに、両足を踏ん張って耐えきれば岩田の勝ちだ。しかしそうはいかなかった。一死から素晴らしいインサイド直球で攻め込んだが、稲葉の技術に弾き返された。一死一塁。この日2併殺の高橋信二への攻めも間違いじゃなかった。初球のクロスファイアがボールになり、2球目のシュートが気持ち高くなる。俊足赤星でも追いつけず右中間二塁打、意地を見せられた。一死二三塁。この日なぜかタイミングが合ってしまうスレッジにレフト前同点タイムリー。ここもボール先行となったことで、わずかにインサイドの勝負球が真ん中に入った。1?1同点。一死一三塁、内野は併殺体勢。
小谷野は初球スライダーを引っ掛け、強いサードゴロ、しかしバルディリスがこの正面の打球をトンネル、痛恨のタイムリーエラーで逆転された。スローで見ると、微妙に土のところでバウンドが変わったかも知れないが、今までのバルちゃんならそんなものは関係ない。まさに併殺おあつらえ向けの打球に、一瞬体が固まってしまたのか。反応の良いバルちゃんだけに、真正面の打球というのも体を固める要因だっただろう。
8回表は、Fのルーキー左腕宮西がとてつもなく度胸満点の腕振りで好投。9回表は武田久が投げるほどに外角低めに出したり入れたり出したり入れたり、これまたビタビタのコントロールで走者二塁の反撃を退け試合終了。あえて言えば、一死二塁で打席をもらった関本に、得意の一二塁間狙いで外角球を振ってもらいたかったが、そうさせないものがあったのだろう。F投手陣に脱帽するしかない試合だった。
バルディリスは良い経験だ。真正面のノックをいっぱい受けよう。岩田もね、ホント良い経験だよ。その後も気を取り直して、8回自責点1の完投負け、立派だった。あの新井の1点だけで勝てる投手になるために、タイガースのエースになるために、この負けは必要だったんだと思う。
ガオラの解説、光山氏がクイックのタイムを計っていた。とても速いのだそうだ。加えて、足を上げて、顔を一塁走者に向けるフェイクを入れながら投球した。走者を釘付けにする技術、バリエーションも身につけてきた。投球だけじゃなく、プレート裁き、フィールディング、あらゆる面で岩田は急成長している。
あとは勝負所でのボール1個。岩田ならこの悔しさをバネにまた着実に伸ばしてくる。

コメント

  1. 負けたのは悔しいけど、岩田投手はよく頑張りました。逆転された後も気持ちを切らさず、鶴岡選手のスクイズバントを冷静に処理して、追加点を許さなかったし、登板するたびに成長を重ねていますね。
    バルディリス選手も今まで守備では好プレーを見せてチームを救っていただけに、あのエラーだけでどうこう言う気にはなれません。
    2人ともまだ若いし、この経験を糧にして更に成長してくれることを願います。

  2. とらぽるた より:

    ファイターズしぶといね。
    他のチームへ行ってレギュラー取れそうなの森本、田中賢、稲葉の三人くらい。
    森本離脱で知らない顔や一割打者がごろごろ。
    昨年はこちらの状態も最悪だったし、ダルとグリンに手も足も出なかった。
    今年は二人とも来ない日程でラッキーと思いきや、スウィーニーが完璧な出来!
    ドラフトで振った宮西にも手痛いしっぺ返しを食らった。
    武田久はさすがという他ありません。
    バルちゃん、やらかしちゃいましたね。
    正面のゴロを後ろへそらすの初スタメンの辺りでも見たけど、難ゴロよりも飛べないから固まっちゃうのかな?
    そろそろ打の爆発を期待します。初球からバットが出るようにはなってきた。

  3. 村山命 より:

    「7回からJFK」もあり得たが、敢えて岩田続投。
    結果負けはしたが、「エースを育てる」目的がしっかりしていて良かった。
    今ある貯金を将来に投資する。
    いいお金の使い方だと思う。
    岩田がそれに応えてくれたのも嬉しい。
    きっと育ってくれるよな。

  4. rainbow hill より:

    岩田は本当に成長しましたねぇ。
    マウンド上での落ち着きぶりが抜群ですね。例えピンチでも、ピンチでないときと同じピッチングが出来る投手はそんなにたくさんはいないと思います。
    正直昨年までは、一軍でローテーションを守れるようになるかどうか不安でしたが、もう大丈夫のようですね。
    知り合いの糖尿病の専門医(←読売ファン)に聞いたところ、岩田投手の話を持ち出す糖尿病の患者さんがぼちぼち出て来ているとか。
    頑張れ、全国1型糖尿病患者の星!

  5. やっぱりトラ! より:

    負け方としてはエースの資格充分!
    次のお題はあのまま勝っちゃうこと!!
    頼んだでぇ?。