ファイター上園

スポンサーリンク

今度の相手はライオンズ。対戦となると、日本一になった85年の日本シリーズを思い出してしまう。


あの頃は、HR量産で打棒のTに対し、ソツのない攻めと質量とも最強の投手陣を誇る守りのLという構図だった。今年はともにリーグ首位を突っ走っているが、その構図はまさに正反対になっているのが面白い。
先発は上園が今季初登板。不振のため5/19に抹消された杉山に代わり、5/24に登録された(あと5/25は今岡と桜井が抹消で、高橋光と秀太を登録)。その日のH戦でも、「ご当地で先発か?」とカモフラージュ役をしたが、さすがに前回登板(二軍戦)から中3日はない。
キャンプは極めて順調だったものの、オープン戦でピリッとせず、いやむしろ、他の投手がピリッとしていた関係でローテ枠からはみ出てしまって開幕は二軍スタート。いつでも昇格できるように二軍ローテで待機のはずが、調子さっぱり上がらず成績低迷。今回の昇格だって、アッチソン右ヒジ故障、杉山不調、金村曉はもっと不調…てなわけで、「消極的選択」に他ならなかった。
ところが一軍で投げてみると6回108球5安打、猛打のL打線相手に1失点で踏ん張る。くどいようだが二軍ではこんな投球一度もしていないのに。これは大変困ったことだ。厳しい競争社会だから、一軍枠を掴む唯一の手段は二軍での競争に勝つことが大原則。ところが二軍でぱっとしなくても、一軍で活躍しちゃうヤツがいる。やっとの思いで一軍枠を得ても、機会に恵まれなかったり、機会を生かせなかったりする者が大半を占めるというのに。
しかしこれが現実なんだろうな。じゃ上園は下で手を抜いていたのかと言えば、そういう事じゃない。上園なりに必死でやっているのに結果が出なくて悩んでいたのだろう。悩む中で技術的なチェックポイントを一つ一つ潰していったにせよ、それでも解消されなかったのだと思う。上園は「スポーツ選手」、「アスリート」である前に、「戦士」「勝負師」なんだろうね。「技」と「体」を統合するのが「心」なのだと言うけれど、上園の場合は、その心がゴーゴーと音をたてて燃え盛っていなければ、心技体の統合がなされないのだろう。
1回表簡単に二死を取ってから、二死満塁のピンチを背負う。この時の不安げなスタンドの空気、せっかくのチャンスで情けない姿をさらす自分に気付き、一気に着火したかのようだった。以後の上園は、去年の上園だった。「オマエにこの球が打てるか!」とばかりに凄みつつ、何のヘンテツもなさそうな130km/h台のまっすぐをど真ん中に放り込んで、事実、打者に見送らせる。何か知らんが一瞬たじろがずにはいられない迫力。まるでハッタリみたいなんだけど、当事者たる上園と、対戦する打者にとって、その迫力は「真実」以外の何者でもないのだろう。
ウェルカムバック。岩田と上園の若き両輪が、闘志でチームを引っ張るのか。楽しみがまたまた増えたよ。
ってことで、勝機はずいぶんと遅くなったが、上園がロースコアゲームに持ち込んだ時点で、試合はおおまかタイガースペースだ。しかし、いつかは追いつき追い越すだろうと思いつつも、昔の大エース西口を打てず、終盤までゼロは良くなかったね。
1回ウラの先制機は、4番5番で取り損ねる。
3回ウラは相当マズい無得点。先頭上園ヒット、赤星内野ゴロで走者入れ替わり&二盗成功までは完璧に予定通り。一死二塁で、平野がセンター右へのクリーンヒット。セカンド横をライナーで破ったため、赤星のスタートは一瞬遅れる。これは仕方ない。しかしちょっと遅れすぎた。センターボカチカは強肩だが、打球へのチャージはやや横走りになっている。非常に際どい判断。和田コーチは赤星を止めた。本当に難しい判断だったとは思う。ボカチカの送球がストライクなら赤星はアウトになり、さらに首の状態を悪くしただろう。一死一三塁、しかも三走赤星なら、新井金本で1点取れる可能性は極めて高い。ここはストップ。これは大正解のはずだった。ところが、正解はその直後に見ることができた。水滴が残る甲子園の芝に足を取られたボカチカの送球はとんでもないところへ飛んでいく(もちろんバックアップがいたから問題はない)。赤星GOなら労せずして1点だった。
そうこれは結果論。しかしこの「正解」が新井の打撃にも影響をもたらしたように、まさかの5?4?3ゲッツー。このショックが勝機を大いに遅らせたと言えるだろうし、逆に大逆転劇のエネルギーになったとも言えるだろう。
7回ウラ。先頭鳥谷どん詰まりながら二遊間を破ってセンター前。芯を外してもヒットコースに球が行くのは、パワーと正しいスイング軌道のおかげ。野口バント成功グッジョブ。関本はミスショット、ポップフライは最悪。しかしこの投手真上のフライで、捕球後の二番手小野寺にサード中村がレイトタックル。というか「ぶちかまし」(笑)。ケガはないようだったが、結果的にこの後小野寺はボロボロになっちゃったんだから、影響なしとは言えなかっただろう。
二死二塁、二番手として前の回をビシッと抑えた久保田に代打葛城。初球のフォークを見切ってボール。結果が出ていない葛城だが、これでずいぶんと落ち着いた。2球目の速球について行ってファール。3球目低めいっぱい、ストライクのフォークを綺麗に投手足元へ、センター前ゴロで抜ける、鳥谷三塁を回る、ボカチカバックホーム、良い返球、セーフ!際どいタイミングだったが、外野守備位置が「必死」まで詰めていなかったので助かったかも知れない。同点!さあ追いついたぞ。
追いついた瞬間から、もう負けないという確信が沸いてくる。ただ見ている私ですらそうなんだから、やっている選手たちはもっと確信していただろう。葛城は二塁へ進んでいる。赤星初球ストライクを取るフォークを狙い打ち、センター前。今度はセンター左に走るのでバックホームは無理、逆転!赤星2試合連続の逆転タイムリー!赤星は本当に飛距離と方向性をコントロールしている。ネット(内野手)を越えて、ライン(外野手)手前に落とす。ひとりだけテニスのパッシングショットをやっている。そして、なんといっても初球を狙っているのが良いよね。もう投げる前から圧倒的優位に立っている。
小野寺は平野にストレートの四球で岡本真に交代。新井が崩されながら広く空いた三遊間に転がして3?1。金本が一二塁間を破って4?1、そして三走新井が一瞬のスキも見逃さない好走塁(捕手がワンバウンド投球をわずかに一塁側に弾いたところ、ホームに突っ込んだ)で5?1。2アウトから5点取っちゃった。いやあ、強いねえ。
ジェフ、球児が危なげなく締めて、首位決戦に先勝。守って守って、少ないチャンスをベンチ含むみんなで集中してものにするというのが定着してきた。控えが日替わりで活躍するのも良いね。秋のためにも、もう一つ行っちゃおう!

コメント

  1. ジジィ より:

    覚悟の「ローテ谷間」にも関わらず、上園見事な投球でした。やはり、野口のリードも大きく作用してるのでしょう。(上園、次回が大事だよ)
    強い西武も、いつもと違う大観衆の歓声で(守備の連携など)勝手が違うようですね。 さあ二つ取るぞー!

  2. 虎こそ命 より:

    「野球は2アウトから」とはタイガースのためにあるのでしょう、対西武戦でもそれを実証。
    「上園投手が一軍にいない不思議」が解消。
    緊張感を冷静にエネルギーに変換できる
    素晴らしい投手。一回りも年上の野口捕手の存在も大きいと思う。
    お杉さんは岩田投手と上園投手を見習うべき
    でしょう。

  3. 馬馬虎虎 より:

    野口に1票=矢野は勝負が遅い、2ストライクから必ずアウトコースへ外す Pも40歳の矢野に従う アンパイヤもベースに正対せず、ゴニョゴニョと左右に動く矢野に惑わされボールと判定する 他のチームと同様、タイガーズにも若いPが沢山いる 第2、第3の上園を待っている がんばれ!

  4. 西田辺 より:

    上園。
    2軍で結果を残せず「2年目のジンクス」説まで飛び出す始末。
    首脳陣も、「上で投げさせたら、抑えたりして」的な半信半疑どころか
    二信八疑ぐらいで送り出したんだと思う。
    で、キャッチャーは去年までの相方野口。
    去年とシチュエーションを重ねたら好投しちゃったって感じ(笑)
    で、また根拠の見出せない強気の投球をするんですよね、彼は(笑)
    もう理論とか理屈じゃなく、オカルトの領域ですね。
    打たれてもいないのに、勝手にビビッて自滅していくあの投手に
    この上園魂(?)を植えつけてやりたいよ。

  5. やっぱりトラ! より:

    上園は小気味がいい…思いっきり腕を振る。こっちはそれでダメならしゃーないわなと思える。ただ空振りを取れる球がひとつは欲しい。度胸だけでは一度目はいいが二度目は疑問というか不安。
    赤星のバッティングが一皮むけつつあるかな。例えると和田豊式ライト前…しっかり自分のものにして来るべきその時に存分に発揮することを願う。
    今岡>フォード>桜井>浅井>バルの順番がフォード>バル>浅井>今岡>桜井になってしもた。
    今岡、頑張れ?!拗ねたらあかんぞ!!
    桜井は一からやり直し!練習あるのみ!!
    で、バックアップが高橋光と秀太ってホンマに選手層が厚いのかと?マークが…。

  6. cait より:

    上園が1軍に上がって変わったという見方もできますが、私はファームのキャッチャーのリードがちょっと心配です。

  7. PPW306R より:

    本文冒頭「85年の日本シリーズを思い出す」とありますが、僕にとっても忘れられないシリーズですね。
    僕は西武沿線で猫屋敷からそう遠くないところに、もう30年以上住み続けてますが、
    クラウンライターから西武に親会社が変わって、所沢に本拠を構えた時からのライオンズファンでもあります。
    今は亡き祖父の影響で、プロ野球には幼い頃から関心はありましたが、
    我が地元にプロ野球の球団が本拠地を構えるなんて想像もできず、子供ながらに大変興奮したのを今でも憶えています。
    故根元氏から広岡氏に監督が交代し、常勝軍団への道を着実に歩んでいたライオンズに、
    最初の壁となったのは言うまでもなくタイガース!
    当時の僕は、巨人さえ破ったライオンズがタイガースなんかに絶対負けるはずがない!と頑なな思いでありましたので、
    まさか2勝4敗で日本一を逃すとは夢にも思いませんでしたし、落胆も大きかったです。
    (ライオンズが日本一を逃した初めてのシリーズでもあります)
    でもこれが、僕には逆に強烈なインパクトとなり、タイガースに注目するきっかけとなりました。
    以後、日本シリーズでの顔合わせはありませんが、交流戦のお陰で相まみえる機会が増え、
    毎年この時期を楽しみにしている反面、どっちかに肩入れすることもできず、
    この対戦だけは、球場へ行くのに躊躇するというジレンマに陥っています。

  8. PPW306R より:

    ↑間違えちゃったかも?
    ×故根元氏 → ○故根本氏

  9. toyo より:

    ナイピー?上園
    フジテレビの番宣ではないが、世にも奇妙な物語とはこの事だ。
    試合前には、本当にゾノが先発?
    あしたのジョーのノーガード戦法が浮かんだ‥
    しかし結果はローテの仲間入り
    おめでとうしか言えなよいね(笑)
    GG佐藤だって、3回に2回は凡退するんだよ!
    直久くん
    torao様も言っておられるように、
    ランナー2塁からのタイムリー、ホームクロスプレー オートマチックのように、葛城、赤星が進塁して、野球のお手本新井、金本が体制崩しながらも、塁間を抜ける強い打球を放つ
    負ける気しませんね
    シモー!完投だ、完投

  10. がぶ野球 より:

    はじめまして^^初めてブログにこさせていただきました。
    しっかし1軍しか活躍しないなんて
    そういうことあるんすね?、、、
    またまた来させていただきます^^応援しております。応援ポチっとしておきますね♪

  11. メル より:

    昨日は1アルにいたのですが、周りでヒソヒソと「いつ、西武はHR打つのだろうか」というのも聞こえてました。それにしても「ワッショイ」の迫力はすごいですね。甲子園行くたびにあれで相手の投手がくずれるのを見てます。慣れてるはずのG上原でさえそうでしたから、パの投手なんてそれはもう・・・。応援が初めての人でも参加しやすいワッショイおそるべし。
    で、9回4点差でも「ソロHR4本打たれたら・・・」というヒソヒソ話も聞こえました。怖い気もしつつ快勝。快笑。

  12. とらぽるた より:

    二軍での投球内容からすれば、明らかに若竹、石川、鶴、玉置に劣る。
    私も「上園上げてどうすんの?しかも西武相手だよ!」と疑念を持ったクチです。首脳陣のGJ!
    きかん気の表情も腕を振り切るアクションも打者に向かう後姿にも闘争心が溢れていて、頼もしい!
    打たれても、しゃーないかと思えるからストレスもたまらない。
    そんな上園が帰ってきた。
    ちょっと気になるのが若竹。1安打完封の後出番がないがどうしてるのかな・・・。
    今日は中5日のシモさんか、中4日でボギーか?
    この先水曜日はずっとゲームがあるのでここをシモさんで固定した方がよいかと・・・。

  13. 真弓 より:

    to torao様
    お久しぶりです。
    いい試合でしたね?♪
    上園の気合い感じるピッチングこそが勝負の醍醐味ってやつでしょうか。
    ストライクゾーンの中に投げてりゃ70%はアウトになるんですもんね。
    今日の下さんにも期待しましょう♪

  14. rainbow hill より:

    好調西武との対戦が、交流戦で最初のセ側主催の試合で良かったですねぇ。DHがないから打順をいじらざるを得ないので少し調子が狂うのは当然かと思います。
    所沢での対戦が怖いので、是非今日は下柳に「阪神の投手陣は打てない。」という気持ちを植えつけといて欲しいです。そいう言う意味では今日の下柳先発は非常にラッキーですね。

  15. のののー より:

    上園の2軍での内容がリードのせいだとしたら、そんなリードでも結果を残している投手を上げないのはおかしい。
    ただ、これ以上落とす投手がいない。シモとジェフが抜ける日に備えて飼い殺し、で本当にいいのだろうか。