ミット止めろ腰引くな

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 キャンプで練習中の岡崎が、帯同している審判員から捕球時ミットを動かしすぎると指摘されたという(サンスポ)

 19日、ブルペンで投球を受けた阪神・岡崎にセの真鍋審判員からチェックが入った。「『捕球した時に、ストライクゾーンへ動かしすぎる』といわれた」。今季から全球団に静止を呼びかけており、吉田バッテリーコーチは「それも技術のひとつなんだけど、統一するということだから」と語っていた。

 北京五輪では、日本の捕手が審判を欺くような捕球によって心証を害したと言われた。そういえば昔はそう言ってたよね。「ズルいことするな」って。少年野球でも高校野球でも(今でもそうかも知れないけれど)。いつのまにか捕球時にひょいと動かしてストライクをかすめ取るのが「技術」ってことになっている。私の頭の中では少なくともそうなっていた。
 つまりこれは審判の技術が低下したってことなんじゃないかな。ボールをごまかしてストライクにしようとしていると審判がわかれば、「卑怯なことをするもんじゃないよ」とたしなめられて、「技術」どころかお叱りの対象。まんまとだまされちゃってるからそれが「技術」になっちゃう。ちょうどサッカーのシミュレーションのように、上手くやるのが技術と言われていた時代もあったが、今や卑怯なプレーであると警告を受けるように変化してきた。審判が毅然とした対応をしていないと、本筋ではない「技術」が発達してしまう。
 さて、今季はミット動かしを統一的に注意していく方針らしい。それはとても良いことだと思うけれど、どうしてNPBは、そういう大事なことを自分の口で発表しないのか。公式サイトがあるのだから、どういう経緯、狙いで、どういう決定がなされ、具体的にどうしていくのかを説明したら良いのに。そうやって既存のファンの理解を得る努力をしないんだよなぁ。ちょっとしたことなんだけど、そういうところにファンの方を向いていないという姿勢が現れるように思う。
 そうそう、15秒ルールについて。ばかぼん父さんの「迷解!スポーツ観戦記」にて、現行ルールと対比させている記事がある。(私自身もそうだったのだけれど)議論の中で欠落している視点を指摘しているので一読をお薦めする。なーんだ、国際的に浸透している「現行ルール」を正しく適用すれば良いだけのことじゃん、というのが私の感想だ。
 録画機が壊れたり、バタバタしていたりで、キャンプ中継は見てない。ごめん。和田コーチが新井へ、真弓監督が鳥谷へ、それぞれ「もっと腰を入れんかい!」「腰を引くな!」と指導しているというのは実に頼もしい。新井の去年の「当てる打撃」は、腰を引くという副作用をもたらしていたし、鳥谷の守備、打撃での弱々しさは、「きゃあっ!」と腰を引いてしまいがちな姿勢に由来する。本当は強靱な肉体の持ち主なのにね。
 時々びっくりするような飛距離を見せる時は、尻の重心が外ではなく下に向かっていて、足が蹴り上げる上方への力を、無駄なく上半身の回転運動に変えていた。
 なんといっても気に入ったのが、真弓監督が守備で腰を引いた鳥谷に対して放ったという一言、「エビか」(スポニチ)。私もそれが言いたかった(笑)。
 今日はいよいよ紅白戦。WBCジャパン候補vsジャイアンツの練習試合もあって楽しみな一日だ。

コメント

  1. 新保 より:

    「捕球時の技術」は『ドカベン』で山田太郎もやってましたね。
    「エビか」、真弓発言で初めて笑いました。

  2. 藤村珂南 より:

    ミットの件は五輪以来気になってたので、安堵しました。
    (安堵のあまり、同じ話題を自分ちブログでも取り上げました。パクりですみません)
    私のようなアホはあっさり誤魔化されちゃうので、こういう改定は歓迎です。
    タイトルを最初に読んだ時、「腰引くな」の文言で、「誰が怯んでるの?」と思ってしまいました(更にアホ発言してどうする)。
    しかし、鳥がエビって……w

  3. ばかぼん父 より:

    ご紹介ありがとうございます。15秒ルールが、なんとなく「うやむや」になりそうな感じになり、書きそびれていた事をコメント欄を借りて勝手に書いちゃいます。
    >現行ルール
    私が書いた「現行ルール」は野球規則の「現行ルール」であって、NPBの「現行ルール」ではないからややこしい(^^;)。例えばスポニチなどで知る限りでは「投手が打者に面してから12秒」となっているようです。ところがOfficial baseball ruleも、それをほぼ訳しただけの野球規則も「打者が投手に面して(alert)から12秒」です。(主語と目的語が逆で投手の自由になる時間が国際ルールの方が短い)
    ようするにNPBは「申し合わせ事項」(アグリーメント)で野球規則を変更することなしに別のルールを作って試合をやっている。toraoさんがご指摘の通り、このアグリーメントも公開されていない(私が知らないだけなら教えていただければ幸いです)。ややこしいから「勝手にしろ!」じゃなくて「勝手にすんな!」と言いたい。
    ちなみに「12秒ルール」はMLBでも昨年セリグコミッショナーが「適用」を求めたが、主審は15,6秒でもとってなかったようです。(良い判断だと思います^^)

  4. 一虎ファン より:

    当たり前のことですが、ストライク、ボールの判定はミットの位置ではなく、ホームベース上を通ったか、通らなかったかを見て決めるのですから、ミットの動きは判定に無関係のはずです。
    審判がミットの動きを云々することには、「どこ見てんねん」と言いたくなります。「ミットの位置を見て、コールしてるのか」と。
    ま、全球団、全審判で、きちんと統一されるなら、それはそれで結構なことです。
    ふところも気候も寒いですが、気分はもう球春。ワクワクしてきます。

  5. 西田辺 より:

    他国の事は良く存じませんが、日本のプロ野球を見てると本当にキャッチャーミットが大幅に動くのを
    よく見かけます。
    日本代表クラスの選手でもやってますもんねぇ。
    後ろから見る審判に言わせれば「一番良く見えてるお前(捕手)が際どい球をストライク側にミットを
    寄せるんだから、それはボールなんだろ」と反論されれば、きっと何もいえないはず。
    キャッチャーvs主審の騙し合いは昔からありまして、色んな技は知ってますけど教育上宜しくないし、
    自慢のタネでもないので省略(笑)
    先日の「15秒ルール」にしてもこの件にしても、何でコソコソ(少なくともそう見える)と決めて、「ほれ!決めたから守らんかい!」
    と言う手段なんだろぅ。
    しかも審判を矢面に立てて。
    不要な遅延行為や、苦笑せざるを得ない技術(?)の蔓延は慎むべきだけど、ルールと言うのは
    野球と言うゲームを円滑に進める為のもので、徒に選手を罰するものであってはいけないと思いますけどね。

  6. Yalkeys より:

    「虎暮らし」を横浜駅地下街で見ました。
    横浜の書店では、名実ともにナンバーワンといえば有隣堂です。JR横浜駅西口正面地下ザ・ダイヤモンド店のスポーツコーナーに1冊並んでいました。清原の「男道」などと一緒に陳列されていました。いつもお客でいっぱいの店舗です。残念ながら私が見ている時は、手に取る人がいませんでしたが、「私が邪魔をしているんだ」と気がつき、位置を変えました。この書店の戸塚店(旧丸井のビル)では、在庫はないようです。それでも私がすすめて、二人が購入しています。

  7. レフトの子虎 より:

    こういうルールってどうやって決めてるんでしょうね?
    審判団で話し合うとか?
    ストライクゾーンはホームベース上に定められている以上、ミットの動作なんぞは判定に関係ないはず。
    実際、捕手が動くか動かないうちに審判は出てる訳ですし。
    だとしたら、その会議中で「ミットが動くとストライクゾーンの判定が難しくなる」とヘタレを抜かした奴が居ると言う事。
    と言う事は、捕手がミットに球を収めてから判定をしてる下手くそ審判が居る訳です。
    ……居てますでしょ?やたらコールの遅い審判が。
    珍プレーなんぞでは確実に顔が映る審判が。
    可変式ストライクゾーンと揶揄され、年に数回はセリーグのチームからお怒りのお手紙を頂いている審判が。
    やっぱり審判はきったかぶり……もとい
    知ったかぶりしちゃいけませんよね。

  8. 藤村珂南 より:

    二回目のコメントで失礼。
    この件をちょっと調べてみたんですが、発信源は、今月9日のプロアマ規則委員会ではないでしょうか?
    記事を見つけましたので、URL欄に記事URLを入れておきます。
    以下、横レスで失礼します。
    > レフトの子虎さん
    キャッチャーミットの件は、北京五輪後に、各国から「審判の目を欺く卑劣な行為」と非難を浴びたんです。
    toraoさんの仰るとおり、(野球先進国でありながら)それを当たり前にやってた今のNPBの方がおかしいのです。

  9. あーちゃん より:

    ルールの運用、審判のレベルというのは、あらゆるスポーツにおいてその本質を左右する課題であるわけですが、今年のプロ野球でも大きな火種となりそうですね。
    ばかぼん父さんご指摘の、“「現行ルール」は野球規則の「現行ルール」であって、NPBの「現行ルール」ではない”という事実に愕然としています。“野球”と“プロ野球”って、ルールが違うほど乖離したものなんだ。
    日本のスポーツ界において、審判が主張することはあまりいいイメージではないようですが、私はもっともっと自己主張をして、ルールと運用と審判自身に対する理解を求めるべきだと思っています。
    赤瀬川隼氏の著作に、プロ野球審判を主人公にした小編があって、とても面白かったのですが、タイトルが出てこない(申し訳ない)。あとで調べてきます。

  10. torao より:

    新保さん、編集の新保さんですよね?ようこそ!(笑)山田太郎もやってた?うわあ憶えてない(笑)。確かに岡田語録に比べて笑える部分が少なすぎでしたね(笑)。
    藤村珂南さん、「日本の野球は特別だから」で、WBCで負けるのはカンベンして欲しいんです。本格普及している国が少ないんですから、ガラパゴスにならないで欲しいと思います。調査ありがとうございました。
    ばかぼん父さん、一般の多くの野球ファンにとって、野球のルールといえばプロ野球のルールを指すと思います。なんたってやっている試合数が多いし、目にする機会が多いですから。ところがそのルールが、明文化されたもの以外のアグリーメントに支配されていて、それを一般の野球ファンはマスコミ報道以外で知ることができない。こんなことではいけません。まずは公式サイトにその内容と主旨を明記すること。その上で、将来を見据えて、国際試合を念頭に置いたルール改正をすること。声を大にして望みたいです。
    一虎ファンさん、審判の身になると、欺こうとしてることもさることながら、「いちいちちょいちょい動かして鬱陶しいねん!」てのもあるのでしょう。もっとも日本では(長時間化同様)いつのまにかそれが当たり前になってしまっていて、審判もなんとも感じなくなってしまったようですが。でも小学校の時は、よく審判に怒られていたように記憶しているんですけどね。
    西田辺さん、そうそう、それもありましたね。ボールの軌道に合わせて動かすのは自然なんですが、後からひょいと動かすヤツはいかにも「ボールだったので動かした」って感じになります(笑)。
    Yalkeysさん、拡販までしていただき、どうもありがとうございます!一度峠を越して、またじわじわと売れて…くれれば良いのですが、なかなかそうはいかないようです(笑)。
    レフトの子虎さん、今回は藤村珂南さんご指摘のとおり、国際的非難を受けてのことでしょう。審判の技術向上と地位向上はNPB改革の重要なテーマだと思います。
    あーちゃん、WBCはプロ野球に近いところありますが、先の北京五輪では、本当にプロ野球と国際野球は遠いものだったのだと痛感しましたからね。
    私も審判頑張れと言いたいです。今度、NPBの機構改革がありましたので、それが審判の地位向上、技術向上に役立つことを願うばかりです。

  11. 匿名 より:

    先ほどの「赤瀬川隼氏の審判が主役の小説」ですが。
    タイトルは「影のプレイヤー」。文春文庫『捕手(キャッチャー)はまだか』に収録されています。
    同時収録作は、「野球が好き!」という純粋な心が様々な形で詰まった佳品ぞろい。ご一読をおすすめします。

  12. torao より:

    あーちゃん、了解。