中央集権と地方自治

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 中央集権から地方自治に移行すべきという方向性が示されてずいぶん日が経つが、今また中央官庁が地方への財源や権限の委譲に抵抗を示していると話題だ。


 徳川が全国を安定させた時代、中央政府が財政を掌握してもなお地方政府(各藩)はその自治権を主張していた。明治政府になって、列強帝国と渡り合うための効率化政策が徹底し、強力な中央集権社会が出来上がった。
 時間がずーっと経って、都会を中心に年間3万人が自殺し、地方の産業がほぼ死滅しそうな現代になって、効率化によって失われるものの大きさに気づいたが、それでもなお変化は生まれない。既得権益を失うことへの抵抗とは凄まじい。これが政治経済の話。
 スポーツは、地方自治にとって重要なツールに成りうる。町の中心に役場などの公共施設だけじゃなく、スタジアムがあって、町の人たちが好きなスポーツが行われる。そんな町おこしは魅力的だ。野球で言えば独立リーグやクラブチームがそういう志を持ってチャレンジしている。
 日本プロ野球界(NPB)のあり方はどうだろうかと言えば、徳川時代の末期ってところか。鎖国が解かれて、黒船に脅える。まずは効率化のための「中央政府」をしっかり作って、高収益システムを確立し、それを「地方政府」に最分配する仕組み作りをやる必要があるだろう。「産業革命」を取り入れ、列強に対抗しうる産業構造をまず作る必要がある。
 しかしその上で、効率化や帝国化とは違う価値観を求めて変革する、理想の姿を描きたい。地方が地方の独自性を発揮できるようなプロ野球、トップリーグの球団が自分の町になくても、それでも地域の代表チームを応援できるようなプロ野球ができたら良いと思う。
 球界改革の話は、抽象論から、超スローペースで進めている。正直に言えば、自分が「これだ!」と言えるものを模索しているので、ゆっくりゆっくり発信しながら、ゆっくりゆっくり考えているところ。強い関心を持っていて、もっと早く先に進みたいという方は、まず鈴木友也氏のコラム(2年前に週刊ベースボールに連載→リンク)にて、基礎的情報の確認をされたい。

コメント

  1. 荻窪 より:

    なんだか最近はすっかり「自称球界改革評論家」ですね…
    来季のオープン戦が関東で開催ゼロだとか、久保田のダウン更改だとか、球団が外国人スカウトに今更査定制度を導入するらしいとか、色々タイガースにも話題はあったと思うのですが。
    書籍化ですっかり「あちら側の方」になってしまわれたのでしょうか。寂しいです。

  2. HiRO@zetton05 より:

    (笑)自分は、シーズン中は虎話題ばかりで退屈でした。
    やっと、という感じですが…

  3. おきどき より:

    荻窪さんのおっしゃる通りですね。昨日は書籍発売日ですから、最近は忙しくて、なにか書き溜めしてたものを小出しにされている感じがします…
    大阪の駅前書店でもいっぱいありましたし、昨日の八木さんのラジオでも宣伝してましたし、心配なさらずに、どっしり腰をすえて、阪神の最近の
    話題を中心にすすめて頂きたいです… 私はアマゾンで購入しましたよ。

  4. 一虎ファン より:

    今までは、ほとんど100%虎ファンのスタンスで野球を眺めていましたが、せめてこのオフくらいは、せめて10%くらいは(←えらい限定的)野球ファンという立場で球界改革の話をかじることにします。

  5. おまえ より:

    ご贔屓チームは近いに限ります。
    2009年は関西独立リーグも出来るので大変楽しみです。
    ご出版おめでとうございます。
    昨日は朝からコンビニへサンスポ買いに行って、
    昼からだめもとで地元の小さい本屋に『虎暮らし』買いに行きました!
    奇跡的?に阪神タイガース検定と迷ったときには前に出ろの間にありました!!
    21日に会社の近くの本屋で2件撃沈したので…
    神様へのインタビュー最高でした、特にファームのコーチがいかに重要か!
    鳴尾浜ファンとしては涙が出る話でした。

  6. おりがみ より:

    町おこしつーても、ジジババばかりで若いもんが仕事したくても無い、子どもは生まれてこないという過疎地域がどれほど多いことか。
    独立リーグの前途は多難だとおもいます。がんばってほしいけど。
    産直とかやってると、農業や漁業などの第一次産業とスポーツだけで若いもんが一生くいっぱぐれないくらいの安定した地域を作れたら面白いだろうなぁって思うです。
    でも人間は、ネオンが恋しくなる事もあるだろうし・・フフフ。生まれ育った町や村が好きなまま大人に成れればいいけれど、こんな村やだ?というのもエネルギーになるときはなるし・・。
    ムジュカシイですね。

  7. G3 より:

     鈴木さんのコラムは知ってます。DIMEさんのブログにも紹介されていましたし、週刊ベースボールも読んでますから。
     でも、鈴木さんのコラムの内容が、そのままtoraoさんの主張には結びつかないですよ。
     例えばtoraoさんは企業名を外すべきと主張します。実際、メジャーでは企業名はないですが、鈴木さんのコラムにはこうあります。
     『ただし、MLBは合法的な独占組織として、良くも悪くもその独占力をフルに発揮した“力ずく”での改革を進めることができましたが、一民間企業の宣伝広告ツールとして発展してきたNPBには、その生い立ちから出来る事が限られるでしょう。単にアメリカの施策を猿真似するのではなく、その辺りの状況を冷静に見極めた上での対策が求められることになるでしょう。』
     企業名を外すと言うのは、鈴木さんの言うところの猿真似にも思えます。
     日本には、企業名があっても地域密着できている実例があるわけですから。
     日本には日本に合ったやり方があるわけで、その現実を踏まえて議論しないと、実のある議論にはならないように思います。

  8. torao より:

    荻窪さん、私のスタンスは実はそんなには変わってないんですよ。前からこんな感じのバランスなんです。ウソだと思うなら全部読み直して…ムリですね(笑)。
    HiRO@zetton05さん、最近じゃ虎が最後まで強いもんですからね(笑)。
    おきどきさん、本のために忙しいってのは全然ないですよ、忘年会だけで(笑)。それと書きためたものなど一切ありません。毎朝、さあて今日は…って感じです。時々は、明日は…って考えておくことはありますけどね。本は…心配ですよ!(笑)ありがとうございます。
    一虎ファンさん、この不況はまた野球界にとって厳しいことになりそうですからね。野球に限らずですけれど。
    おまえさん、関西独立リーグ頑張って欲しい!書店に奇跡的にある本というのも笑えますが(笑)、買っていただいて本当にありがとうございます。
    おりがみさん、ムジュカシイ!だけど、せめて「地方都市」をもっと元気にさせないといかんと思います。
    G3さん、そのとおりですね。企業名を外すという議論がほとんど起きないのは、現実的な話ではないからでしょう。おそらく宣伝広告ツールというあり方も現実的には変わらないのでしょう。私もそう思っています。世の中、そんなことばっかりです。理想と現実は違う、今このシガラミの中で、そんなことは出来るはずがない…。
    でもだからって理想を語り合うことは無意味だとは私は思いません。理想は理想、現実は現実。その間をどうやって埋めていくか。そういう道筋でなければ、結局は現状是認の繰り返しで、なかなか事態を好転させるのは困難だと思いますから。それで、私は自分の理想のプロ野球を考える作業を今やっているところです。

  9. ばかぼん父 より:

    コラムは読みました。
    私が考える球界の理想であり目標は、まず「全球団の黒字化」です。
    その目的のための方策が、開放系への球界改革とはぶっ飛びすぎです。
    私がこのコラムからわかったのは、MLBは財務諸表でウソをついて所得隠しができ、金満球団が利益配分をできるほどのウマウマな仕組みの上になりたっていること。よって、NPBが真似のできるビジネスモデルとはなりえない。
    一方、NPBで黒字なのは読賣と阪神だけ。かたやこの興業の胴元、かたや大坂夏の陣で東軍の民間人や女子供にまで行った非道を発端とする?対抗意識に上手く乗っかって企業努力なしでファン最多球団となった。この2チームのみならず、セのチームが既得権を手放すとは到底思えないし、この成功が他球団にとってビジネスモデルにすらなりえない。
    毎日新聞のシリーズ「野球再発見:第13部・マネジメント」を読めば
    今球団がなんの努力もしていないかといえばそんなこともない。
    特にパリーグ収益を上げるためにまとまって行動し始めたことを評価すべきでしょう(まだまだですがね^^;)。できれば地上波の放送権も一括管理して、ダルvs 岸、涌井vs成瀬 (唐川)などのカードを狙って放送局に売れるようになっていけば、新規ファンの獲得、独立採算へ一歩近づくし、プロ野球のビジネスモデルとなりうる方向へ進んでいくのではないでしょうか。
    まあなんにしても、ファンにできることは愛するチームを応援し、ホーム、ビジターに関わらず収益アップに貢献することしかないのですが。

  10. torao より:

    ばかぼん父さん、おっしゃるように開放型は「そのさらに先」だと私も思います。
    パの協調体制に、セも協力すること、さらにはセの持つメディアへの影響力(というよりメディアそのもの)を12球団協調という方向に向けることが、めぐりめぐって全体の向上に役立つと私も信じています。